経団連の南アジア地域委員会(安永竜夫委員長、平野信行委員長、深澤祐二委員長)は4月4日、東京・大手町の経団連会館で、インド工業連盟(CII)のR・ディネシュ会長率いる代表団一行とビジネスラウンドテーブルを開催した。概要は次のとおり。
■ 日印連携の高いポテンシャル実現にはビジネス環境の整備が必須
開会に当たり日本側から、グローバルサウスのリーダー的存在であるインドとの連携の重要性に言及。その拡大と深化には予見可能性の高いビジネス環境の整備が必須であると指摘した。また、インドにおける二国間クレジット制度(JCM)活用の高い潜在力を指摘したうえで、JCM締結に向けたインド経済界の支援を要請した。
これに対しインド側からは、日印連携は大手企業にとどまらず中小企業の参画が必要との発言があった。また、在日インド人の数を10倍にする目標を掲げており、これを実現することで、日本の労働力不足の解消とインドの人材育成に期待を示した。
■ 持続可能な成長に向けて~第三国連携や人材協力などに高いポテンシャル
第1セッションでは、持続的な成長をテーマに意見交換した。日本側は、インドを拠点としたアフリカビジネス拡大の大きな可能性と重要性を指摘。また、IT人材を中心としたインドの人材活用について、管理部門業務のオフショアリングはコスト重視からサービスの質重視へとシフトしていることを報告した。インド側は、熟練労働者の育成にとどまらず、特に再生可能エネルギー分野における高度な技能を有する人材の育成が必要であると指摘。教育や人材開発における日印連携に期待を表明した。また、デジタルパートナーシップの重要性を強調し、相互運用性を実現するために両国で共通の標準を設定すべきであると提言した。
■ エネルギートランジションにおける日印連携
続く第2セッションでは、グリーンエネルギー分野での連携について議論した。日本側からは、エネルギートランジションにおける日印の共通課題として、石炭火力依存やエネルギーキャリアとしての水素の必要性などを指摘した。インド側からは、大規模な再エネプロジェクトには多額の資金が必要となるため、グリーンファイナンスでの日印提携への期待を表明した。
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経団連は、日印首脳会談に合わせて開催している「日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム」やアジア・ビジネス・サミットなど、さまざまな機会を通じて、今後も日印経済関係の強化に取り組んでいく。
【国際協力本部】