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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年5月16日 No.3636 ゲルヴァラ・コソボ副首相兼外務・海外居住者相と懇談

ゲルヴァラ副首相(左)と髙島委員長

経団連の髙島誠ヨーロッパ地域委員長は4月3日、東京・大手町の経団連会館で、コソボのドニカ・ゲルヴァラ副首相兼外務・海外居住者大臣と懇談した。ゲルヴァラ副首相の発言概要は次のとおり。

コソボは独立して16年であり、人口の7割が35歳以下と若い国である。デジタル・ICT分野に強みを持つ人材を多く有し、GAFAなど大手多国籍企業で働く人も多い。他方、労働市場はまだ十分に整っておらず、高い失業率が課題である。高等教育を受けた人々の就職先が少なく、外国に働きに出る人も多い。現在、スイスと協力して教育制度改革に取り組んでおり、大学教育と労働市場の接続性の改善を図っている。1980年代に外国に移住したコソボ人も多く、特にドイツやスイスに大きなコミュニティがある。在外コソボ人からの送金額は14億ユーロと、国家予算の約4割に上る。在外コソボ人は、投資などを通じて国内の市場拡大に貢献しており、実際の人口(180万人)よりも市場規模は大きいといえる。

コソボは、鉱物資源も豊富で、採掘した褐炭を利用した火力発電で総発電量の9割以上を賄っている。エネルギーの対外依存度は低いが、脱炭素化を図っていくことがEUへの加盟に必須であり、今後、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入を推進していく。エネルギー移行のほか、廃棄物・リサイクル問題についても日本の投資を期待する。

このほか、伝統的な主要産業である木材・金属加工、繊維、食品加工、建設業、さらには観光と農業を掛け合わせたアグリツーリズムについても投資を歓迎する。EU加盟を目指しており、2016年には安定化・連合協定が発効し、EU市場へのアクセスは無関税である。他方、周辺国への輸送はトラックが中心であり、鉄道をいかに整備するかが課題である。レジリエントな国づくりに向け、日本の協力を求める。

【国際経済本部】

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