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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年4月18日 No.3634 次期バイオ戦略の検討状況 -バイオエコノミー委員会

松尾氏

経団連は3月27日、都内でバイオエコノミー委員会(小坂達朗委員長、岩田圭一委員長)を開催した。内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の松尾泰樹事務局長から、次期バイオ戦略(バイオエコノミー戦略〈仮〉)の検討状況について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ わが国の科学技術・イノベーションを取り巻く情勢

科学技術・イノベーションはわが国の経済成長の原動力である。一方、ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢など世界の安全保障環境が厳しさを増すなかで、先端科学技術等をめぐる主導権争いが激化し、世界規模でのサプライチェーンの分断も生じている。従来、資源国が国際的に優位な立場にあったが、今後はバイオ、量子、フュージョンエネルギーといった技術を有する国が優位となろう。こうした認識を踏まえ、統合イノベーション戦略2024では、科学技術・イノベーション政策の大きな方向性として、「先端科学技術の戦略的な推進」「知の基盤(研究力)と人材育成の強化」「イノベーション・エコシステムの形成」に加えて、国際ルールメーキングの主導・参画や経済安全保障との連携を含む「グローバルな視点での連携強化」を組み込んでいく考えである。

■ バイオエコノミー戦略(仮)の検討状況

このような状況下、24年2月20日の総合科学技術・イノベーション会議における岸田文雄内閣総理大臣の発言にもあるように、バイオエコノミーの拡大に向けて、19年に初めて策定したバイオ戦略の改定に取り組んでいる。バイオエコノミーは、医薬から植物、食料など裾野が広く、近年、多くの国が国家戦略を策定して取り組みを強化している。わが国としての勝ち筋を意識しながら、バイオテクノロジーやバイオマスを活用した課題解決と経済成長の両立を目指し、市場ごとに技術開発の加速や事業環境の整備に注力する。

「バイオものづくり・バイオ由来製品」では、まず高付加価値製品の市場化を図り、中長期的に汎用品の市場を形成する。未利用バイオマスの利活用、二酸化炭素の直接利用といった技術開発では、ムーンショット型研究開発制度やグリーンイノベーション基金事業も活用する。さらに、製造拠点や事業環境の整備にも注力する。

「一次生産等」に関しては、食料安全保障の強化を盛り込んだ「食料・農業・農村基本法」の改正案が24年2月に閣議決定されており、技術的に食料安全保障をいかに確保していくかを引き続き検討したい。「健康・医療」については、低分子医薬品からバイオ医薬品等の新規モダリティへの移行が進むなか、創薬力の向上やデジタルヘルスの開発・市場化を推進する。

「横断的・基盤的施策」として、生命科学研究を支える人材の育成等に取り組む。なお、今次の戦略改定に当たり、当初のバイオ戦略で設定した九つの市場領域を再整理する予定である。

23年秋から産業界とは密にディスカッションしてきている。引き続き連携や提言をお願いしたい。

【産業技術本部】

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