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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年4月4日 No.3632 グローバルサウスに関する議論の状況 -開発協力推進委員会政策部会

服部氏

経団連は3月7日、都内で開発協力推進委員会政策部会(木村普部会長)を開催した。経済産業省通商政策局の服部桂治総務課長から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ グローバルサウスとの連携強化に注力

わが国は、グローバルサウスへの関与を一貫して重視しており、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組んできた。国際社会が歴史的な転換点を迎えているなか、分断と対立ではなく協調の国際社会を実現すべく、グローバルサウスとの関係をさらに強化していくことが、日本外交の重要課題である。そのために、「自由で開かれたインド太平洋のための新たなプラン」(新FOIPプラン)をはじめとするこれまでの政策を着実に実施していく必要がある。

こうした問題意識を踏まえ、政府は2023年10月、内閣官房長官を議長とする「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」を立ち上げた。24年春をめどに、同諸国との連携に向けた方針を取りまとめることとしている。

グローバルサウスとの連携強化に当たっては、(1)日本の国益増進につながるものであること(2)グローバルサウスに属する個別の地域・国の事情に応じたきめ細やかな対応をとること(3)グローバルサウスとの共通項を強調し、国際公益の実現を図る姿勢を示すこと――の3点が重要である。対応策としては、第一に、グローバルサウスとの政策対話や交流の機会を増やすことが不可欠である。第二に、協力の具体的な実績を積み上げていく必要がある。日本の強みを生かしたオファー型協力の推進による政府開発援助(ODA)の効果的かつ戦略的活用や、日本企業の現地展開の加速による産業協力強化を推進していく。また、外交行事や総理の外国訪問の機会に、具体的な協力案件を形成することも重要である。第三に、説得力のあるナラティブを効果的に発信するなど、グローバルサウスへの関与に際して戦略的コミュニケーションを強化していく。

■ 経産省の検討状況

経産省でも、24年2月に開催した「第20回産業構造審議会経済産業政策新機軸部会」において議論を行っている。

グローバルサウスは各国・地域で状況が異なるが、共通しているのは、「実利重視」と「老いる前に豊かになりたい」という考え方である。グローバルサウスの発展には、資源のみならず、テクノロジーが必要である。そうした観点から、自国の経済とテクノロジーを発展させるパートナーとして日本に対する一定の期待がある。

こうしたなかで、グローバルサウスとの連携を強化するためには、政官民で戦略的に取り組む体制を構築し、重点国・地域の特定、地域戦略・テーマ別戦略の策定、政策ツールの強化を具体化することが重要である。

重点国・地域については、(1)市場性(2)日本企業の進出・投資の度合い(3)重要物質・鉱物等――の指標を基に、ある程度絞ることを検討している。また、グローバルサウスとの「共創」においては、(1)未来産業(2)重要鉱物(3)脱炭素――が主なアジェンダとなるだろう。技術の開発・実装を進めながら、「政策協調」を図り、公正で持続可能なビジネス環境の整備を目指す必要がある。

【国際協力本部】

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