世界各国からサイバーセキュリティの専門家や政府高官等が参加する「ミュンヘン・サイバーセキュリティ会議(MCSC)2024」が2月15~16日、ドイツ・ミュンヘンで開催された。23年同様Institutional Partnerとして名を連ねる経団連は、サイバーセキュリティ委員会サイバーセキュリティ強化ワーキング・グループの和田昭弘主査が2年連続で登壇、講演した。また、日本政府代表として内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の中溝和孝内閣審議官も登壇し、わが国の官民連携強化をアピールした。和田主査の講演概要は次のとおり。
■ 日本産業界のアプローチ
日本産業界の取り組みの3本柱は、(1)サプライチェーン全体を俯瞰した産業横断(2)経済安全保障の確保等に向けた緊密な官民連携(3)国際連携――である。
こうした取り組みを評価する英国政府の招待を受け、経団連は24年1月、英国・ロンドンに「日英サイバー協力ミッション」を派遣した(2月22日号既報)。英国家サイバー諮問委員会(NCAB)との協力覚書に署名するとともに、日英双方の取り組みについて相互理解を醸成した。
英国はじめ欧米ではサイバーセキュリティにおける官民連携を政府主導(トップダウン)で行うのが一般的である。これに対し、日本では重要インフラを含め、各産業別に組織化された業界がハブとなり、所管省庁とをスポークで結ぶ「ボトムアップ型」を形成していることが特徴である。このボトムアップ型のサイバーセキュリティへの取り組みを可能にしているのが業界団体、さらには総合経済団体としての経団連の存在である。
■ 同盟国・同志国との官民連携強化に向けて
今回は「日本型官民連携」をまさに具現化すべく、NISCの中溝氏と私がそろって参加している。日本から政府と産業界の代表がそろってMCSCに登壇するのは初めてのことである。
経団連は、先の訪英ミッションや今回の訪問で得た知見を踏まえ、同盟国・同志国との官民連携のあり方を模索していく。日本のボトムアップ型官民連携を含め、ベストプラクティスを学び合うことを通じて、国境のないサイバー空間を安全・安心な領域とすべく、皆さまと協働したい。
【産業技術本部】