経団連は、2023年9月に提言「2023年度規制改革要望」を公表し、河野太郎内閣府特命担当大臣はじめ政府関係者にその実現を働きかけてきた。政府の規制改革推進会議が23年12月に公表した「規制改革推進に関する中間答申」や、「規制改革・行政改革ホットライン」での規制所管省庁の回答を踏まえると、現時点で同提言に掲載した規制改革要望の6割で一定の進捗があったことが確認されている。
そこで2月29日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(竹村信昭部会長)を開催した。内閣府規制改革推進室の稲熊克紀次長から、中間答申の概要をはじめ政府の規制改革の取り組みについて説明を聴いた。概要は次のとおり。
政府では、河野大臣のリーダーシップのもと、国民や産業界の要望に基づき、技術進歩や社会環境の変化に応じた規制・制度の見直しを推進している。
規制改革推進会議は、24年年央に行う内閣総理大臣への答申に向け、23年秋から規制所管省庁と議論している。その議論の中間的な取りまとめとして、「規制改革推進に関する中間答申」を23年末に公表した。
わが国の生産年齢人口の大幅な減少に伴う課題を乗り越え、むしろ、変化を力にする社会変革を起動するため、中間答申では、「革新的サービスの社会実装」「未来を拓く投資の拡大」「良質な雇用の実現」の三つの横断的な取り組みに整理し、審議の結果を取りまとめている。
「革新的サービスの社会実装」では、地域での非営利有償運送の円滑化をはじめとした「移動難民」の解消に向けた交通分野の規制改革、無人地帯での立入管理措置なしの目視外飛行を可能とするドローンの事業環境整備など物流分野の規制改革、公民館等でのオンライン受診の円滑化など医療分野の規制改革、デジタル技術の活用による介護付き有料老人ホームの人員配置基準の柔軟化といった介護分野の規制改革など――を盛り込んでいる。
また、「未来を拓く投資の拡大」では、公証人による定款認証制度の見直しや株式報酬の活用促進に資する制度改革など、「良質な雇用の実現」では、副業・兼業における割増賃金の支払いに係る労働時間の通算管理のあり方の検討など――をそれぞれ盛り込んでいる。
今後は、中間答申の内容を着実に実行するとともに、検討を継続する事項の議論を加速・深化していく。引き続き経済界と共に規制改革を進めたい。
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経団連は、24年度も全会員企業・団体を対象に規制改革提案調査を実施し、秋ごろをめどに提言を取りまとめる予定である。Society 5.0の実現に向け、経済界として建設的な規制改革を引き続き提案していく。
【産業政策本部】