経団連は2月1日、都内で政治特別委員会企画部会(久保田政一部会長)を開催した。日本大学の岩井奉信名誉教授から、政治資金制度改革について説明を聴いた。概要は次のとおり。
■ 政治改革の理念への回帰と政治資金制度改革の原則
自由民主党の派閥による政治資金パーティーの収支不記載を受けて、政治資金制度改革をめぐる議論が活発となっている。政治とカネをめぐる問題に関しては、1988年のリクルート事件を受けて、選挙制度改革とともに、当時、有識者会議の提言や、自民党における政治改革大綱が取りまとめられるなど、活発な議論が交わされた。それから30年以上が経過し、今日、政治資金制度の抜本的な改革が再び求められている。今回の改革でも原則は当時と変わらず、(1)政党中心(2)透明性の確保(3)監視体制の強化(4)制裁の強化(5)公私の峻別――の五つを志向して制度設計を行うことが肝要である。
■ 改革の具体的メニューと今後の課題
政治資金規正法は、政治資金の「収受」を規正する法律であり、「収支」を規正する法律になっていない。こうした前提を含め、政治資金制度改革にあたっては、広く法改正・規則改定を視野に検討を進めることが求められる。
例えば、資金処理の厳格化について、デジタル化による一元的な政治資金の管理と公表は、透明性確保の観点から最重要の課題である。そのほか、政治資金の不正処理に対する厳罰化として、会計責任者が有罪となった場合に、議員本人にも刑事責任が及ぶ連座制の導入も論点となっている。
企業・団体献金の位置付けについて、一部の野党が主張している一律の禁止は、現実的とは言い難い。企業・団体も、民主主義社会の構成員の一員として、政治へのアクセス権を確保することは重要であり、他の主要国と同様、正当なルールにのっとり、制度を運用していくことが肝要である。議論はこれから進展していくと想定されるが、与野党には、実効性のある制度改革の実現を期待したい。
【総務本部】