法務省は2023年12月26日、商業登記における株式会社代表者住所の一部非公開化を実現するための商業登記規則等(以下「省令」)改正案を公表し、24年6月3日の施行に向けて意見募集を実施した。経団連の経済法規委員会企画部会(大内政太部会長)は1月24日、同改正案に対して意見を提出した。概要は次のとおり。
■ 省令改正の背景・趣旨
現在、株式会社の代表者住所は、会社法上の登記事項として公開されており、登記事項証明書または登記情報提供サービス(注)により、誰でも知ることができる。経団連はかねて、この制度はプライバシー保護の観点から問題があると指摘し、見直しを求めていた。
今回の省令改正案では、一定の申し出を行った株式会社に限り、登記事項証明書と登記情報提供サービスの双方において、現在の代表者の住所を市区町村まで表示することとしている。
■ 意見の概要
意見では、同改正案について、既存の会社における代表者のプライバシー保護だけでなく、スタートアップ等の新しい会社の設立を促進するうえでも極めて重要であることから、速やかに施行すべきとしている。そのうえで、次の3点を要望している。
1点目は、住所の一部非公開化の対象者の拡大である。株式会社の現在の代表者だけでなく、過去の代表者や、株式会社以外の法人(合同会社等)の代表者も対象に含めることを検討するよう求めている。
2点目は、住所非表示措置の申し出の機会の拡大である。同改正案では、申し出ができるのは、代表者就任等に係る登記申請時に限られている。しかし、非公開会社では、代表者就任の登記が最長10年間行われないことがある。そこで、登記申請時とは別に、住所非表示措置のみでの申し出を認めることを検討するよう求めている。
3点目に、登記官が住所非表示措置の申し出が適当と認めるときの措置について、形式的要件を満たしていれば措置が講じられるのかを確認している。
(注)インターネットで登記情報を確認できるサービス
【経済基盤本部】