一般社団法人 日本経済団体連合会
経済法規委員会企画部会
商業登記の登記事項証明書および登記情報提供サービスにおいて、一定の要件のもと、株式会社の代表者住所を行政区画(市区町村)までの表示とする商業登記規則等改正案(以下、本省令案)を支持する。本省令案は、アナログとデジタルで閲覧できる情報を同一にしており、政府のデジタル化推進の方向性に合致している。また、本省令案は、既存の会社における代表者のプライバシー保護に資するだけでなく、スタートアップを含む新たな会社の設立を促進する観点からも極めて重要であり、速やかに施行すべきである。その上で、本省令案について、下記の3点を要望する。
登記事項証明書および登記情報提供サービスにおいては、株式会社の現在の代表者に加えて以下の(1)~(4)の者の住所情報が提供されており、プライバシー保護の観点から懸念がある。
- (1)株式会社の過去の代表者
- (2)株式会社以外の法人(合同会社等)の過去および現在の代表者
- (3)株式会社等の過去および現在の支配人
- (4)合同会社の代表社員が法人である場合における過去および現在の職務執行者
企業取引や消費者被害対策などへの影響を踏まえつつ、これらの者を住所非表示措置の対象に含めることを検討すべきである。
本省令案では、住所非表示措置の申出ができるのは、代表者就任等に係る登記申請時に限られている。しかし、非公開会社では、定款で取締役の任期を伸長した場合、代表者就任の登記が最長10年間行われないことがあり、その間は申出を行うことができない。プライバシー保護の対応を速やかに可能とするため、本省令案の施行後において、登記申請時とは別に、住所非表示措置のみでの申出を認めることを引き続き検討すべきである。
会社が住所非表示措置の申出を行った場合、登記官が「当該申出が適当と認めるとき」は措置を講ずることとされている。これについて、提出した書面が形式的要件を満たしていれば措置が講じられるのかを確認したい。