経団連の十倉雅和会長は12月21日、政府が開催した「第5回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」にオンラインで参加した。同会議は、サプライチェーン全体の付加価値向上や取引適正化を推進し、賃上げの機運を拡大するため、「パートナーシップ構築宣言」を公表する企業の増加や実効性の向上を目指すものである。十倉会長はじめ、新藤義孝内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、齋藤健経済産業大臣、小林健日本商工会議所会頭、芳野友子日本労働組合総連合会会長らが出席した。概要は次のとおり。
新藤大臣は冒頭、2023年12月15日時点で約3万8000の企業が「パートナーシップ構築宣言」を公表していることや、価格転嫁に関する政府の取り組みについて説明した。今後は、同年11月に策定された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえ、業界団体や地方の中核的企業に宣言を浸透・普及させていくと表明した。
続いて齋藤大臣は、宣言を公表した企業には率先して高水準の価格転嫁を実現し、下請企業の働き方改革などを支援するよう求めるとともに、優良な取り組みの発信や、宣言内容の実行に課題のある企業への個別フォローアップなどを通じて取引適正化につなげていくと述べた。
これを受けて十倉会長は、経団連がパートナーシップ構築宣言を周知徹底した結果、会長・副会長、審議員会議長・副議長の全企業が宣言を公表しているほか、資本金1000億円以上の企業の宣言率は約94%、資本金100億円以上の企業の宣言率は約81%に達し、わが国のサプライチェーンの中核を成す大企業が宣言していると説明した。労務費・人件費の増加分を「人への投資」として価格に転嫁することが重要であり、コストや付加価値の適正な価格転嫁により、受注者側も含めた社会通念を変え、社会的規範を確立していく必要があるとも述べた。
最後に新藤大臣が、サプライチェーン全体において価格転嫁を通じた適切な価格設定を定着させ、物価上昇に追いつく持続的・構造的な賃上げを実現することが最も重要であり、宣言の実効性を強化する取り組みを進めてほしいと締めくくった。
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経団連は政府と連携しながら、会員各社に対して宣言公表を呼びかけている。まだ宣言を公表していない企業は、業種を問わず早急に宣言することをお願いしたい。
詳細は「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトを参照。
【経済基盤本部】