経団連は10月23日、東京・大手町の経団連会館で産業競争力強化委員会企画部会(地下誠二部会長)を開催した。経済産業省商務情報政策局の須賀千鶴情報経済課長から、政府が進める「デジタルライフライン全国総合整備計画」の検討状況等について、説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ デジタルによる社会課題解決・産業発展
人口減少が進むなかで、生活水準を維持するには、デジタルサービスによる人手の代替が不可欠である。そのために必要な技術やサービスはこれまでも実証はされてきたものの、実装には至らなかった。社会実装を進めることで、社会課題の解決と産業の発展を両立することが重要である。
■ アーリーハーベストプロジェクト
社会実装を進めるには、関係省庁や産業界が全体像を共有し足並みをそろえて取り組みを進めることが欠かせない。そこで、社会実装される将来イメージを具体化するため、(1)ドローン航路(2)自動運転支援道の設定(3)インフラ管理デジタルトランスフォーメーション(DX)――の三つの事業をアーリーハーベスト(先行)プロジェクトと位置付けた。先行地域において、2024年度から実装を進める。
■ デジタルライフラインの整備
同プロジェクトには、共通して必要なインフラも多い。ばらばらに整備することのないよう、ハード(高速通信網、IoT機器等)、ソフト(データ連携基盤、3D地図等)、ルール(認定制度、アジャイルガバナンス等)といったインフラ(デジタルライフライン)について仕様・運営主体の具体化を進めていく。定めた規格・標準については計画的に全国展開し、点から線・面へと実装範囲を拡大する。
■ 中長期的な社会実装計画
同プロジェクトには、多数の省庁・部局が関係しており、予算要求などでも連携して施策を進める。政府の「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」(議長=西村康稔経済産業大臣)は、8省庁・17部局のトップや、インフラを担う企業などを構成員とし、議論を進めている。同会議および下部組織のワーキング・グループでの議論を踏まえ、23年度末ごろまでに、約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定し、24年度から社会実装を開始する。「つづく、つながる。」というテーマのもと、継続的に進めていくので、企業の皆さまにも協力してもらいたい。
【産業政策本部】