経団連は6月22日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会企画部会(楯美和子部会長)を開催した。サステイナブルな商品・サービスの推進に向けた各社の取り組みについて、SOLITの田中美咲代表取締役、ライオンの小和田みどりサステナビリティ推進部長から説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ SOLIT
多様な人、動植物、地球環境に配慮した「オールインクルーシブ」なファッションサービスを提供している。従来のファッションと比較して、次のような特徴がある。
- (1) 企画段階から課題を感じる当事者を巻き込み、当事者と共に課題を解決するような衣服を開発。ユーザーは、衣服の部位ごとにサイズ・仕様・丈を選んで注文可能(例=着脱が容易な磁石のボタン、ウエストのサイズ調整、腕まくりをしやすいように、内側にリブが付いた袖)。誰でも自由に、自分の好みや体型に合わせた衣服を選択可能。
- (2) 受注生産で必要な量の衣服を製造。また、ユーザーと継続的な関係を構築し、修繕・補修、再商品化、リサイクルなどを通じて、衣服の廃棄を削減。
「オールインクルーシブ」な企業経営においては、個々の商品の工夫だけでなく、企業の意思決定の方針やサプライチェーンのあり方が重要になる。新事業の実証や基本方針の策定等、さまざまなかたちで企業・自治体と連携・協働することで、「オールインクルーシブ」な社会の実現を目指していく。
■ ライオン
生活者と共に、節水・節電や資源回収等の「エコの習慣化」、歯磨きなどの「健康な生活習慣づくり」を推進すべく、商品・サービスを提供している。
水を使用すると、上水・下水の過程で電力が消費されるため、節水はCO2の排出削減にもつながる。そこで、節水につながる商品として、例えば、洗濯のすすぎ工程を省略できるおしゃれ着用の洗剤や、風呂の防カビ用のくん煙剤を開発・販売している。また、プラスチックごみの削減に向けて、詰め替え製品の拡充を推進している。加えて、行政や他社と連携し、使用済みのフィルム容器、パウチやボトル、ハブラシを回収・再生する活動を進めている。古くなったハブラシを交換しやすくなることは、環境負荷の低減だけでなく、口腔衛生の向上にもつながる。
エコの習慣化に向けて、節水・節電やCO2削減の効果、トータルで発生するコストを可視化して生活者が実感できるようにすること、使用済みの商品・容器・包装を捨てずに回収する仕組みやエコな商品・サービスの認知率の向上が重要になる。生活者、行政や他社との共創・協働をさらに拡大していきたい。
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説明後、海外との比較における日本のエシカル文化の現状、未来志向の商品開発の契機、サステナビリティ価値の可視化や多様な主体間での協働の重要性等について、活発に意見が交わされた。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】