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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年7月20日 No.3599 駐中東・アフリカ地域日本国大使との懇談会 -可能性に満ちた地域と一層の関係強化を目指す

経団連は6月29日、東京・大手町の経団連会館で、中東・アフリカ地域に駐在する日本大使との懇談会を開催した。大橋徹二サブサハラ地域委員長のあいさつに続いて、5人の大使から現地情勢等について説明を聴くとともに懇談した。各大使の発言の概要は次のとおり。

■ 岩井文男 駐サウジアラビア大使

サウジアラビアは、国民、特に若者や女性の熱狂的な支持を受けるムハンマド皇太子主導のもと、2016年に国家戦略「ビジョン2030」を公表し、石油依存からの脱却と経済多角化に取り組んでいる。わが国としては、16年に策定のための共同グループを立ち上げ、17年に公表した協力枠組み「日・サウジ・ビジョン2030」に基づき、社会・経済改革を後押しするとともに、同国の活力を取り込み、共に成長を目指すべきである。

■ 磯俣秋男 駐UAE大使

アラブ首長国連邦(UAE)は、投資環境として重要な政治的・社会的安定性が高い。わが国にとって、エネルギーの安定供給源であることに加えて、中東アフリカ地域のハブとして、同地域最多の在留邦人と日系企業を擁する。産油国でありながら、23年は第28回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)の議長を務める。エネルギーの安定供給を確保しながら脱炭素化に向けた取り組みを進めるなど、わが国と基本的な立場を共有する重要なパートナーとなっている。

■ 岡浩 駐エジプト大使

アラブの春の混乱後、14年からエルシーシ大統領のもと、エジプトの政治・治安は安定している。外交面では、中東諸国で最初にイスラエルと和平を結ぶなど地域の安定の要であり、米中露ともバランスをとる多角的外交を展開している。アフリカ第2の経済規模を誇り、労働者の質も高く、風力発電事業、自動車関連などの製造業、物流インフラなど、日本からの投資も堅調である。

■ 牛尾滋 駐南アフリカ共和国大使

南アフリカ共和国は、近年、ロシア・中国との関係を深めている。23年5月には対露武器供与疑惑を受けて通貨ランドが一時下落するなど、地政学リスクが高まっている。国内では、電力インフラの老朽化により計画停電が実施され、電力価格は高騰している。就労ビザを取得するのが難しいといった問題も相まって、進出日本企業は深刻な状況に直面している。他方、同国での水素・アンモニア生産には、日本のみならず欧州各国からも関心が寄せられている。

■ 堀内俊彦 アフリカ連合日本政府代表部大使

アフリカ連合(AU)の国際的な存在感が増している。AUのルールメーキングの動きは強くなるであろう。22年のCOP27での損失と被害基金の創設の決定も、アフリカが一つにまとまったことが大きい。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)も機能し始めている。AU本部が所在するエチオピアのアディスアベバは、各国外交団、国際機関、NGO等が集積している。毎年2月のAU総会には各国の元首・閣僚が参集するなど、アフリカで何かを始める際のショーケースとして好立地である。

【国際協力本部】

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