経団連は12月12日、東京・大手町の経団連会館で2025年大阪・関西万博特別委員会(十倉雅和委員長)を開催した。2025年日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長から、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開幕に向けた準備状況や課題等について説明を聴くとともに懇談した。概要は次のとおり。
■ 直近の準備状況
大阪・関西万博の開幕まで3年となった2022年、企業の協力も得て開催準備が大きく進展した。具体的には、参加招請国等を対象とした初の国際会議「International Planning Meeting」(IPM)を開催し、各国に万博の準備状況を紹介するとともに、参加準備の加速を促した。10月25日時点で142の国・地域、8国際機関が参加を表明しており、最終的な目標である150の国・地域、25国際機関に近づいている。
7月には開幕1000日前を迎え、岸田文雄内閣総理大臣と十倉会長の出席のもと、公式キャラクターの愛称「ミャクミャク」を発表した。また、コブクロによるオフィシャルテーマソングの「この地球(ほし)の続きを」や、特別仕様のナンバープレートを順次公表している。企業には、全国的な機運醸成に向け、ぜひこうしたツールの活用を進めてほしい。さらに、8人のプロデューサーによるシグネチャーパビリオンへの協賛や運営参加への協賛等、引き続き積極的な参加をお願いしたい。
■ これまでの万博の変遷と成功に向けた課題
万博は当初、産業見本市としての機能を有しており、1851年の第1回ロンドン万博から約100年にわたってその役割を果たしてきた。20世紀後半になると、産業振興を目的としたものから、人間性の探求へと性質を変えていき、1970年の大阪万博は、人類の進歩と調和をテーマとしていた。その後、費用対効果への疑問等から、万博の見直しが活発に議論されるようになり、21世紀が近づくにつれて、万博のテーマが人類共通の課題へとシフトしていった。2005年の愛・地球博は、21世紀最初の万博として、自然の叡智をテーマに循環型社会等を取り上げている。直近のドバイ万博(21年)は、21世紀型の万博にビジネスの視点を追加し、かつて密接だった「産業や技術」と「万博」の関係性にあらためて焦点を当てたかたちである。
大阪・関西万博についても、「新たな時代を創る実験場」として企業にも積極的に活用してもらい、万博とビジネスとがウィンウィンの関係になるよう模索していきたい。また、「いのち」をテーマに掲げる万博として、新型コロナウイルスやウクライナ危機、気候変動等で「分断」が進む世界に「つながり」を取り戻す役割を果たしていきたいと考えている。
このようにわが国が持てる力を発揮し、万博を成功に導くため、各パビリオンをはじめとするコンテンツの磨き込みや、企業、若者の参加等に引き続き精力的に取り組んでいく。経団連会員企業においても、万博への参加や広報への協力をぜひお願いしたい。
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続く懇談では、永井浩二副会長が、「万博の経済効果は推定2兆円ともいわれている。コロナ禍からの、国際的な人の移動の回復という観点からも、非常に意義深い。万博の開催が、日本人の知らない日本の魅力を見いだすきっかけとなるよう、企業としても協力していきたい」と述べ、万博の成功に向けて大きなエールを送った。
【総務本部】