
ポッティンジャー氏
経団連は10月28日、東京・大手町の経団連会館でマット・ポッティンジャー元米大統領副補佐官(スタンフォード大学大学院客員教授)との懇談会を開催した。米国の安全保障に関する認識について、対中国の観点を中心に説明を聴くとともに意見交換した。ポッティンジャー氏の発言の概要は次のとおり。
■ 習総書記の講話と中国の今後の政策
中国の経済を知るためには、政治を知る必要がある。政治を知るためには、習近平中国共産党総書記を知る必要がある。習氏は、過去の講話のなかで今後の中国の政策方針を示唆する重要な発言をしているが、多くの人が見落としている。2012年に総書記に就任した直後には、ソ連の崩壊から学ぶべき教訓として、中国には強力な指導者が必要だと言っている。また、中国の共産主義を世界に広めることが目標と述べている。さらに、自国の内部を破壊する覚悟をもって国を再建する、という毛沢東氏の言葉を今の時代においても守ることが重要と発言している。
これらを踏まえれば、中国共産党第20回全国代表大会を経て改正された党規約で、改革開放や経済の考えが後景に退き、安全保障や「闘争」が前面に出てきたことは、驚くことではない。また、新たな指導部には、習氏の側近が多い。このため、今後もゼロコロナ政策の継続、習氏の四期目への突入が想像される。
世界経済に組み込まれた中国経済をデカップリング(分離)するのは困難だが、中国は、米国への対応としてではなく、自ら技術分野のデカップリングを推進している。
■ 日米台の結束
台湾は、上陸できる海岸線が少ないなど、武力を用いて侵略することが困難な島である。米台日が、結束して必要な能力を蓄えれば、中国の台湾侵攻を抑止できる。
岸田政権は、防衛力強化に取り組んでいるようだが、優先すべき装備を早急に配備することが不可欠である。
また日本は、中国を挑発しないように、台湾との関係を深めるべきである。
■ 日本企業が取り組むべき課題
中国ビジネスを継続する企業は、台湾での紛争を抑止するための政策を取るように自国政府に働きかけるべきである。軍事的な均衡を保つことは抑止につながる。そのために日本は防衛力を高めるべきである。自国の防衛力を強化することは挑発にはならない。
日本企業は、目立たないかたちで代替的なサプライチェーンを構築すべきである。サプライチェーンの再構築はコストがかかるが、戦争になればより多大なコストを払うことになる。
【国際経済本部】