経団連は10月27日、東京・大手町の経団連会館で、来日したノルウェー産業連盟のスヴァイン・ホルセテル会長一行との懇談会を開催した。経団連からは、ヨーロッパ地域委員会の東原敏昭委員長、佐藤義雄委員長、資源・エネルギー対策委員会の隅修三委員長、市川秀夫委員長らが出席した。ノルウェー側の発言概要は次のとおり。
ロシアによるウクライナ侵略は、ロシアと国境を接するノルウェーにとっても、深刻な懸念事項である。ノルウェーは、ロシアを強く非難し、G7ならびにEU諸国による対露制裁に参加している。ウクライナ情勢を受け、ロシアの天然ガスに依存している欧州各国では、エネルギー不足への対応が喫緊の課題となっている。資源国であるノルウェーは、天然ガスを増産して対応しており、欧州最大の天然ガス供給国に浮上した。加えて、エネルギー安全保障の観点から、国内の電力生産を拡大していくことも不可欠であり、再生可能エネルギーのさらなる導入が求められる。
日本とノルウェーは共に、パリ協定に基づき、脱炭素化社会の実現に向けて取り組んでいる。カーボンニュートラル達成は、重要であると同時にチャレンジングな目標である。洋上風力発電、水素やアンモニア、バッテリー、電力網、二酸化炭素回収・貯留(CCS)などの分野について、アジアなどの第三国への技術支援を含め、日本との連携を進めていきたい。洋上風力発電について、日本では、浮体式設備の導入の将来性が高く、排他的経済水域(EEZ)への展開を視野に入れ、環境整備を進めていくべきと考える。ノルウェー企業は、数十年前から洋上風力発電を手がけており、日本にも貢献できる。また、ノルウェー企業は、水素やアンモニアを日本企業に提供しており、クリーン・アンモニアの開発や火力発電における水素・アンモニアの混焼などについても、日本企業との技術連携を拡大していきたい。
ノルウェーにとって日本は、アジア第3位の貿易相手国である。近年、二国間の貿易額の伸びは緩やかで、拡大の余地は大きい。日本は日EU経済連携協定(EPA)や日英EPAを締結している一方、ノルウェーとの間ではEPAがない。EUや英国と同等の条件を整備したいと考えており、ノルウェー経済界としては、日ノルウェーEPAの締結を強く希望している。日本では、ノルウェー産水産物の輸入増加による日本の水産業への影響を懸念していると承知しているが、ノルウェーは日本の水産業と競合しない。現在、ノルウェーから輸入したサバやサケを千葉県や福井県等の地方都市で加工しており、雇用の創出など、日本の水産業にも裨益すると考える。
【国際経済本部】