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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年9月15日 No.3559 欧州の企業サステナビリティ報告指令を踏まえて日本企業が留意すべき事項 -金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース

関口氏

経団連は8月9日、金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォースを開催した。有限責任あずさ監査法人の関口智和パートナーから、欧州委員会が6月に公表したCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive、企業サステナビリティ報告指令)Near-Final版を受け、「CSRDの概要」「日本企業が留意すべき事項」について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ CSRDの概要

現在、国際会計基準(IFRS)財団のもとに設置された国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)において、国際的に統一されたサステナビリティ基準の開発が進められている。その一方で、気候変動リスクをはじめとするサステナビリティ情報の開示について、欧米を中心に世界各国で開示制度の見直し、拡充が進んでいる。

EUでは、2019年12月公表の「European Green Deal」で定めた政策目的「2050年までにClimate Neutralを達成する」等の施策の一環として、CSRDの採択に向けた対応が進められている。

CSRDの前身となる現行制度のNFRD(Non-Financial Reporting Directive、非財務報告指令)に基づく非財務情報開示では、利用者の情報ニーズを満たすものになっていないことが課題として認識されていた。そこで、欧州委員会は21年4月にCSRDの提案を公表し、その後になされた関係者間の協議を踏まえ、22年6月にCSRD Near-Final版が公表されている。CSRDは早ければ22年9月に最終化され、24年度から段階的に適用される見込みである。

Near-Final版で示されたCSRDのポイントは、以下のとおり。

  1. 「対象会社」=EU域内市場の上場企業のみならず、EU域内の「大会社」(注1)等が適用対象となる。加えて、EU市場で売上高が大きい域外企業グループについては、EU域内の子会社または支店が、域外企業グループの連結ベースで、CSRDに基づく一定の報告を行う必要がある(注2)
  2. 「報告事項」=環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)について、報告すべきサステナビリティ課題を幅広く規定している。サステナビリティにかかる事項が企業の業績や財政状態に与える影響のみならず、企業活動がサステナビリティに与える影響についても開示を求めている(ダブル・マテリアリティ)。
  3. 「第三者からの保証」=第三者による保証業務を要求する。

■ 日本企業が留意すべき事項

CSRDが最終化された場合、EU域内規制市場の上場企業は、24年度からCSRDに基づくサステナビリティ報告が義務付けられることになる。

一方で、EU域内の「大会社」に該当する子会社は25年度から(子会社レベルでの連結・単体ベース)、また、EU市場での純売上高が大きいEU域外企業グループは28年度から(親会社連結ベース)、それぞれCSRDに基づくサステナビリティ報告が義務付けられる見込みである。日本企業としては、企業グループ全体で、必要とされる関係者を早くから巻き込み、準備を早期に開始することが重要である。

(注1)(1)事業年度末の総資産が2000万ユーロ超(2)事業年度における純売上高が4000万ユーロ超(3)事業年度における平均従業員数が250人超――のうち、二つの規準に該当する企業

(注2)EU域内の子会社・支店による、EU域外企業グループの連結ベースの報告が必要になるのは、次の二つのケース。(1)EU域外企業の子会社が「大会社」(注1参照)または「上場企業」に該当し、「EU域外企業グループによるEU域内市場での年間純売上高の合計が直近2年間で連続して1億5000万ユーロ超」である場合(2)EU域内の「支店」による「EU域内市場での直近事業年度の純売上高が4000万ユーロ超」に該当し、「EU域外企業グループによるEU域内市場での年間純売上高の合計が直近2年間で連続して1億5000万ユーロ超」である場合

【経済基盤本部】

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