経団連は日欧経済関係の重要性を踏まえ、毎年欧州各国にミッションを派遣している。今年は10月17日から21日にかけて、ヨーロッパ地域委員会の佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長を団長とする総勢約40名(19社)がスロベニア、スロバキア、フィンランドを訪問した。各訪問先では主に二国間経済交流拡大の方策について意見交換し、いずれの国においても日本とのさらなる関係強化に対して強い期待が表明された。また、経団連がかねて推進している日EU EPA(経済連携協定)交渉についても、年内大筋合意に対して支持が表明された。各国の訪問先と懇談のポイントは次のとおり。
■ スロベニア = ツェラル首相、ポチヴァルシェク経済開発・技術大臣、ガシュペルシッチ・インフラ大臣、スロベニア商工会議所
2015年のGDPは過去最高となり、1人当たりGDPも中・東欧諸国で最高水準。日系企業はじめ外資系企業を積極的に誘致しており、そのために減税等の優遇措置の導入や行政手続きの負担軽減の推進など、ビジネスフレンドリーな環境整備に熱心に取り組んでいるとの説明があった。
■ スロバキア = キスカ大統領、ペレグリニ投資担当副首相、ライチャーク外務・欧州問題大臣、ジガ経済大臣、スロバキア投資貿易開発庁、スロバキア商工会議所
現下の経済情勢は良好であるものの、持続的な経済成長の実現に向けて、自動車に過度に依存した産業構造を改め、多角化の推進が不可欠との認識が示された。また、IoT(Internet of Things)をはじめイノベーションに国を挙げて取り組んでおり、高度な技術を有する日本企業との連携や誘致に強い関心が示された。
■ フィンランド = ニーニスト大統領、ソイニ外務大臣、パルタネン国務大臣、グスタフソン雇用経済省次官、フィンランド日本友好議員連盟、フィンランド産業連盟
今年3月のニーニスト大統領来日の際、安倍首相との間で戦略的パートナーシップに関する共同声明が発出され、政治・安全保障、経済、北極等の幅広い分野で協力することが確認されている。これを具体化するため、19年の日本・フィランド国交樹立100周年を控えるなか、北極圏開発やICT、バイオエコノミー、クリーンテック等の分野における日本との協力に期待が示された。
【国際経済本部】