経団連の榊原定征会長は24日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
榊原会長は、現在、政府、関係業界で検討中のプレミアムフライデーにについて、消費喚起策の1つの目玉であり、その目的は、デフレ指向ではない力強い個人消費を実現し、定着させることと述べた。プレミアムな商品・サービスの消費につなげることが肝心であり、新たなライフスタイルの提案として、この運動を大いに盛り上げるため、経済界として全面的に協力していくとした。
また、日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和について言及。これまでの金融政策の総括的な検証で示された、物価目標が所期の計画どおりに達成されない要因、すなわち(1)原油価格の低迷(2)世界経済の不透明さ、特に新興国経済の伸び悩み(3)消費増税後の消費の低迷――に理解を示した。追加緩和の必要性については、現時点では事態の推移を見守りたいと述べた。
介護納付金の総報酬割については、介護給付費の抑制を先行すべきとした。それが実現するのであれば、総報酬割を議論する余地はあるとした。介護給付費の削減は国民の痛みを伴う改革だが、社会保障制度の持続性を確保するためにも給付抑制に取り組むよう要望した。
また、連合の春季生活闘争基本構想の発表を受け、賃金引き上げに言及。来年の春季労使交渉・協議における経営側の基本姿勢は、来年1月公表の2017年版経労委報告で明らかにするとした。現在議論が始まった段階だが、賃金引き上げのモメンタムは何らかのかたちで継続したいとの考えを示した。
働き方改革に関連し、過労自殺は絶対にあってはならず、経営トップが先頭に立ち、過労死防止対策に取り組むべきと述べた。そのうえで今年を「働き方・休み方改革に向けた集中取り組み年」と位置づけた経団連の活動を紹介。過重労働と長時間労働の是正に向け、企業の自主的取り組みの推進とともに、経団連としても政府における法的対応の議論に参加していくとした。
また、エネルギー・地球温暖化について、原子力発電所の再稼働は安全確保が最優先課題であると強調。国の原子力規制委員会の安全基準に基づく審査に合致した原子力発電所について、安全確保を前提に住民の理解を得たうえで、再稼働してほしいと述べた。他方、パリ協定における2030年度の中期目標(13年度比26%削減)は必達であり、その前提に言及。エネルギーミックスの電源構成(原子力は20~22%)の実現、一般家庭におけるCO2排出量40%削減、再生可能エネルギーの比率引き上げなどをすべて実現して初めて26%削減は可能となることから、チャレンジングな取り組みが求められるとした。地球温暖化対策も国民の生活、生命にかかわる非常に重要な要素、かつ国際公約であるとして、再稼働にあたっては、この点も含めて全体を考える必要があるとの考えを示した。
【広報本部】