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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年10月27日 No.3290 第15回企業倫理トップセミナー開催 -小林弁護士から「不祥事の予防・対応におけるトップの役割」聞く

あいさつする三宅企業行動・CSR委員長

経団連は18日、東京・大手町の経団連会館で第15回企業倫理トップセミナーを開催した。セミナーには、企業の経営トップら約450名が参加した。開会にあたり、三宅占二企業行動・CSR委員長が「企業が社会からの信頼を得て持続的な成長を図っていくためには、経営トップ自らが先頭に立って企業統治体制を確立し、企業倫理の徹底に向けた取り組みを行うことが不可欠である。経団連の企業行動憲章等を参考に、グループ企業も含めた事業活動全般の総点検を皆さまにお願いしたい」とあいさつした。

続いて、長島・大野・常松法律事務所パートナーの小林英明弁護士が「不祥事の予防・対応におけるトップの役割」と題して講演を行った。講演の概要は次のとおり。

講演を行う小林弁護士

最近の企業不祥事には、2つの特徴がある。1つは「技術系」不祥事で、データ偽装など理系・技術系の不正行為である。もう1つは「規範変化型」不祥事で、かつては不祥事とは評価されなかった事柄が、社会規範の変化により、不祥事として厳しい批判を受けるようになったものである。

近年、企業不祥事に対して厳しい判決が下されている。ダメージを最小限にするには、不祥事の早期発見・早期対応が不可欠であり、そのためには悲観的視点をもって不祥事の端緒を見ることが有益である。企業の危機に直面した経営者は、現実を直視し、それを前提にしたうえで、損害の拡大を防ぐために最善を尽くさなくてはならない。

不祥事に直面した時には、トップを中心とした危機対応チームを組成し、各対応をすべきである。メディア対応にあたっては、その時点での会社の考えをまとめたポジションペーパーを作成することが有益である。

今年5月の法改正で導入が決定した司法取引への対応も急ぐ必要がある。これへの対策としては、企業が真相解明のために自ら行う不正調査を早期に実施し、捜査当局よりも先に真相を解明することが重要である。

不正調査を効果的に行うには、不祥事の内容に応じて、最適な調査形態を選ぶべきだ。緊急危機対応が求められている事態、すなわち、危機に直面している事態には「危機対応型」を、それ以外の事態には「事後検証型」を選択すべきだ。危機対応型調査とは、緊急危機対応に資する情報収集を主な目的の1つとするものである。

企業の利益は、数字上の利益ではなく、企業の評判を含む、広義の意義でとらえるべきだ。そして、コンプライアンスとは企業の利益のために行われるべきものであり、単なる法令遵守ではないということを、経営者は再度認識しなくてはならない。

セミナーには企業の経営トップら450名が参加した

【政治・社会本部】

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