経団連は19日、東京大手町の経団連会館でブラジルのミシェル・テメル大統領歓迎昼食会を開催した。日本側からは、榊原定征会長、飯島彰己副会長・日本ブラジル経済委員長、三村明夫日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議座長ほか約60名、ブラジル側からは、テメル大統領のほかアンドラーデ・ブラジル全国工業連盟(CNI)会長ら政財界の首脳約40名が参加した。
テメル大統領の発言の概要は次のとおり。
1.100年を超える日伯の絆
100年以上前、日本人がブラジルに移民し、国づくりに多大なる貢献を果たした。現在、ブラジルには世界最大の日系人コミュニティーが存在し、彼らは社会の最前線で将来のブラジルの国づくりのために働いている。日系人は良きブラジル人であり、また日伯の固い絆の象徴である。
また、現在、700社あまりの日本企業が進出し、ブラジル経済に貢献していることも日伯の絆を物語っている。
2.ブラジルの再出発
私は大統領代行を4カ月務め、大統領に正式に就任してから2カ月が経過しようとしているが、この間、ブラジルは多くの政治的・経済的困難に直面してきた。日本からの投資も悪影響を受けたことは否定できない事実であり、この点は認識している。
ブラジルは2億人の消費市場を擁し、また生産拠点としても有望であるが、それだけでは外国からの投資を誘致することはできない。まず、法的安定性、予見可能性を確保することが不可欠である。
財政均衡も重要な課題である。財政赤字に歯止めをかけるために政府支出にシーリングを設ける、原則として税収以上の支出はしない等の改革を推進中である。同時に、貧困撲滅、中間所得層の拡大を通じて消費を刺激することにも引き続き注力していく。
3.日本からの投資に期待
経済改革のすべてを政府が担うことは不可能である。市場を開放し、民間投資を誘致することで経済を活性化させたい。「投資パートナーシップ・プログラム」(PPI)はその一環であり、空港、道路、港湾、石油・ガスなどのインフラ案件がコンセッションのかたちで民間に開放されている。投資家に対する定額納税義務も廃止し、利益に応じた納税に変更した。生まれ変わったブラジルに対する日本企業の投資を期待している。
今回の訪日の主な目的は、経済界の皆さんとの対話である。大統領就任後最初の訪問国の1つに日本を選んだことの意味をご理解いただきたい。
【国際協力本部】