経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は4、5の両日、東京・大手町の経団連会館で、ブラジル全国工業連盟(CNI)との間で、日本ブラジル経済合同委員会を開催した。ブラジル側から、アンドラーデCNI会長、フェレイラCNIブラジル日本経済委員長、フルラン貿易産業省次官、コヘーア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使ら約60名が出席。日本側からは約140名が出席したほか、高瀬寧外務省中南米局長、佐藤悟駐ブラジル日本国大使が来賓としてあいさつした。各セッションの概要は次のとおり。
■ 貿易投資の促進
日伯双方の参加者から、日伯EPAは必要であり、一刻も早く検討されるべきであるとの見解が示された。加えて、日本側から、二国間投資協定は投資保護のみならず、投資自由化を含む包括的な協定にすべきとの提案が示された。今後、経団連とCNI間で2015年9月に作成した「日伯EPAに関する共同研究報告書」をベースに検討を進めていくこととした。
■ 天然資源・エネルギー
ブラジルの豊富な農産物を活用したバイオ・エネルギー分野における日伯合弁事業、技術協力の具体的事例が紹介された。電力の多くを水力に依存するブラジルにとって、高効率石炭火力発電は重要な電源の1つであり、日本の最先端技術を活用することで、相互互恵的な関係構築を目指していくことで一致した。
■ ビジネス環境整備
日本側から、自動車産業を例に、環境対応車を普及させるためローカル・コンテンツ要求の緩和と、生産コスト削減のための設備等への関税削減が提案された。ビジネス環境整備は貿易投資の促進と表裏一体であり、その推進を通じ日伯EPAや二国間投資協定の実現を目指していくことで一致した。
■ インフラ整備
インフラ整備を通じた物流コストの削減が最優先課題であることで日伯双方が一致した。日本側からは、ブラジルにおける前政権からの政策の一貫性を要請するとともに、一部の既存のインフラ案件が、ブラジル社会経済開発銀行(BNDES)の公的融資の停止により中断している現状を踏まえ、長期融資の早期再開を要請した。
■ イノベーション・技術
日本側からSociety 5.0、水素技術等、ブラジル側からIT、ソフトウエア、宇宙等、それぞれの技術力が最大限に発揮できる分野を紹介。協力の可能性について検討を行った。
経済合同委員会の成果は19日、訪日中のテメル大統領に報告された。
【国際協力本部】