日本政府とアラブ連盟は4、5の両日、モロッコのカサブランカで「第4回日本・アラブ経済フォーラム」を開催した。経団連は同フォーラムの立ち上げから日本政府に協力している。
日本からは、林幹雄経済産業大臣、武藤容治外務副大臣をはじめ、経団連の木村康副会長・中東・北アフリカ地域委員長、石飛修中東・北アフリカ地域委員長、竹内敬介日本アルジェリア経済委員長ら約300名が参加した。アラブ側からは、アル・トワイジリ・アラブ連盟事務総長補佐官、主催国であるモロッコのエル・アラミ商工業・投資・デジタル経済大臣ならびにアラブ連盟加盟国の官民約700名が出席した。
近年、アラブ諸国は、資源価格の低迷、急速な人口増加、若年雇用問題といった課題に対応するため経済・産業の多角化に取り組んでおり、日本の技術、資金面の協力を求めている。一方、日本は原油の約8割をアラブ諸国からの輸入に依存しており、アラブ諸国の安定的な経済成長は、わが国エネルギー安全保障上も重要である。
そこで今次フォーラムでは、経済関係の多角化、投資拡大、エネルギー・環境等の分野における協力のあり方を議論した。この成果は、(1)投資協定締結数の倍増(2)人材育成への協力強化(3)エネルギー分野での協力強化(4)質の高いインフラ・プロジェクトへのわが国政府系金融の積極的活用――等を盛り込んだ「カサブランカ宣言」として取りまとめられた。
経団連としては今後、さまざまな機会をとらえて同フォーラムのフォローアップをしていく。
アラブ側主要参加者の発言要旨は次のとおり。
◇ アル・トワイジリ・アラブ連盟事務総長補佐官
日本アラブ経済関係を強化するために、二国間およびアラブ全体として日本との協力を強化したい。特に、アラブ諸国は、電力、運輸、観光、情報通信、農業、人材育成などでの協力に期待している。
長年にわたる日本のパレスチナ等への支援に感謝している。
◇ エル・アラミ・モロッコ商工業・投資・デジタル経済大臣
日本とアラブの関係を政府間のみならず経済界にも拡大し、より重層的な関係を構築したい。
特に、これまで日本アラブ関係は、エネルギー、石油化学が中心であったが、インフラ分野の協力や経済関係の多角化を推進したい。
また、モロッコは、日本企業とアラブ諸国や欧州・アフリカをつなぐハブになりたい。
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次回会合は2018年に日本で開催予定。
【国際協力本部】