経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の岡村正副会長(同組織委員会財務委員長、日本ラグビーフットボール協会長)、嶋津昭事務総長から、「ラグビーワールドカップ2019日本大会開催に向けて」と題する講演を聞いた。
岡村副会長および嶋津事務総長の講演の概要は次のとおり。
■ 多面的なメリットを有するラグビーワールドカップ(岡村副会長講演)
15年秋のラグビーワールドカップ・イングランド大会に出場した日本代表は、優勝候補の南アフリカに勝利するなど、歴史的な成果を挙げ、世界中に大きな感動と衝撃を与えた。
次回のラグビーワールドカップは19年秋に日本で開催される。ラグビーワールドカップの開催による経済効果は非常に大きく、15年秋のイングランド大会では、22億ポンド(約4000億円)と試算されている。民間研究機関の調査では、来たる日本大会が4200億円とイングランド大会をしのぐ経済効果をもたらすと予測されている。また、日本文化の発信等による国際交流の促進や、ラグビーにおける「one for all、all for one(1人はみんなのために、みんなは1人のために)」の精神を青少年に広める機会にもつながると期待される。
このように多面的なメリットを有する日本大会を着実に成功に導くためには、堅牢な財政基盤を確保する必要がある。そこで、組織委員会はこれまで、企業・団体に資金面での協力をお願いしてきた。日本大会の成功を確実なものにするためにも、引き続き支援をお願いしたい。
■ ラグビーワールドカップの特徴(嶋津事務総長講演)
ラグビーワールドカップは、オリンピック・パラリンピック、サッカーワールドカップと並び、世界3大スポーツ大会の1つに数えられる。15年秋のイングランド大会では、チケット販売数は247万枚、海外からの渡航者は約46万人となっており、非常に多くの人が観戦している。また、試合の模様は、210カ国以上でテレビ放映されており、視聴者は42億人に上る。日本国内でのテレビ視聴率もサモア戦で19.3%、瞬間最高視聴率は25%を記録した。
19年の日本大会は、9月20日~11月2日の日程となっており、約7週間にわたって開催される。また、北海道から九州に至る全国12都市が試合会場、40カ所がキャンプ地となるため、東京とその周辺都市で開催される2020年東京オリンピック・パラリンピックよりも広範囲での開催となる。
そのため、長期間にわたり、多くの外国人が観戦のため日本各地を訪れることになる。世界のラグビーファンは一般的に富裕層が多く、日本の多くの都市を回るであろう。これにより、飲食・宿泊・観光等による地域経済の活性化が大いに期待できる。また、国際交流の活性化、世界への日本文化の発信にもつながる。
ラグビーワールドカップ2019日本大会の翌年の20年には、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。19年に日本を訪れた外国人に20年にもう一度訪れたいと思われるよう、東京オリンピック・パラリンピックとも連携しながら取り組んでいきたい。
【総務本部】