経団連の榊原定征会長は25日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。
春季労使交渉について問われた榊原会長は、賃金の引き上げと設備投資の拡大はデフレ脱却・経済再生に向けた重要なカギであり、経済活動の主役を担う企業がその責任ある立場を踏まえ、自らの判断として、経済の好循環に向けたトリガーを引く役割があるとの判断から、一昨年、昨年と賃金引き上げに取り組んだと説明。デフレ脱却・経済再生に向けた社会的な要請を踏まえながら、経済界としてできるだけの役割を果たしていくという思いで、さまざまな機会を通じて、会員に積極的な対応を呼びかけていくとの考えを示した。
そのうえで、賃金は各社において支払い能力、総額人件費等を勘案しながら真摯な労使交渉を経て決まるものであるとして、業績が改善した企業において、定昇、ベア、賞与などによる賃金引き上げを検討してほしいと訴えていると説明した。
経済情勢をめぐっては、政府には現在の経済情勢を注意深く見守りつつ、投資家の冷静な判断を促すような、毅然とした前向きのメッセージを発信してほしいと述べるとともに、経済界としても、市場をめぐる混乱に惑わされず、デフレマインドから脱却し、設備投資の拡大など積極的な経営を推進、成長機会の創出に向けて取り組んでいくことが重要であると指摘。設備投資に関して、昨年の官民対話で述べたとおり、事業環境が整備されれば、2018年までに10兆円拡大することは十分に可能であるとの見通しを示した。
金融政策については、国内外の経済の要因を総合的に点検しながら、必要に応じて適時適切な対応を取るとの日本銀行のスタンスを支持すると表明。2%の物価目標の達成に向けて「必要であれば、追加緩和だろうと何だろうと、躊躇なく金融政策を調整する用意がある」との黒田総裁の発言を受けて、市場において追加緩和に向けた期待が出てきていること、先日のECBのドラギ総裁による追加緩和を示唆する発言から、市場が安定化・沈静化に向けた動きをみせていることを挙げ、市場は追加的な緩和を好感し、期待していると指摘。今週末の金融政策決定会合において、日銀がどう情勢を分析し、どのような政策を判断するのか注目していると語った。
【広報本部】