1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2016年1月1日 No.3252
  5. 障がい者スポーツ通じた共生社会の実現に向けて

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2016年1月1日 No.3252 障がい者スポーツ通じた共生社会の実現に向けて -オリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部会

経団連は12月10日、東京・大手町の経団連会館でオリンピック・パラリンピック等推進委員会企画部会(山本一郎部会長)を開催し、日本障がい者スポーツ協会の高橋秀文常務理事から、障がい者スポーツの充実やパラリンピックの成功に向けた取り組み、活力ある共生社会への課題などを聞いた。

日本では、週1回以上スポーツの機会を持つ障がい者は全体の約18%にとどまり、成人一般の約48%を大きく下回っている。高橋氏は障害者スポーツは、不具合が生じた飛行機で熟練のパイロットが残された機能を最大限活用する姿に例えることができるとしたうえで、日本の現状について、「かわいそうだと分け隔てする健常者こそが障害になっている。健常者も障がい者も一緒に楽しめる、インクルーシブな社会をつくらなければならない」と述べた。

また、2012年ロンドン・パラリンピック大会での日本の金メダル数は5個(世界第24位)であったことから「2020年東京大会の目標である金メダル22個(同7位)に向けて、アスリートの競技力強化が急務である」とした。あわせて「過去最高のパラリンピックと評されるロンドン大会では280万枚の有料チケットが完売したが、東京大会ではチケットの完売に加えて、全競技会場を満員にすることを目標にしている。これこそが、選手たちへの最高のおもてなしである」と強調した。

障がい者スポーツへの理解・関心を高めるため、協会では「障がい者スポーツ体験・交流会」を各地の小学校で開催している。その効果について、「子どもたちが選手と一緒に競技を楽しみ、対話をすることで、自分たちとほぼ変わらない生活を送り、工夫によっていろいろなことができると知り、元気や勇気を学ぶ。そして、選手の試合を観に来るようになり、次は親を誘って来るというリバース・エデュケーション(子供が父母や祖父母を教育すること)が行われている」と説明した。

最後に、企業に要請したい支援として(1)障がい者スポーツファンの拡充(社内報での紹介、障がい者スポーツ体験会の開催、観戦・応援ボランティア休暇の導入、障がい者スポーツのCM放映)(2)アスリート支援(雇用、スポンサー契約、練習環境の提供)(3)各競技団体の支援(スポンサー契約、スポーツ施設の貸出、団体事務局の支援)(4)日本障がい者スポーツ協会の支援(オフィシャルパートナーへの参加)(5)障がい者スポーツ大会の支援(冠スポンサー、大会運営ボランティア、観戦・応援)――などを挙げ、協力を呼びかけた。

【教育・スポーツ推進本部】

「2016年1月1日 No.3252」一覧はこちら