経団連は15日の幹事会で、7日に公表した「採用選考に関する指針」と「手引き」に関し、学生が学業に励みつつ適切な職業選択の機会を十分に確保できるようにするため、開始時期の遵守や学事日程への配慮などに向けた社内体制の整備に一層取り組むよう次のとおり会員企業に呼びかけた。
採用選考に関する指針
企業は、2017年度入社の大学卒業予定者・大学院修士課程修了予定者等の採用選考にあたり、下記の点に十分配慮しつつ自己責任原則に基づいて行動する。
なお、具体的に取り組む際は、本指針の手引きを踏まえて対応する。
1.公平・公正な採用の徹底
公平・公正で透明な採用の徹底に努め、男女雇用機会均等法、雇用対策法及び若者雇用促進法に沿った採用選考活動を行い、学生の自由な就職活動を妨げる行為(正式内定日前の誓約書要求など)は一切しない。また、大学所在地による不利が生じないよう留意する。
2.正常な学校教育と学習環境の確保
在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。
3.採用選考活動開始時期
学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、採用選考活動については、以下で示す開始時期より早期に行うことは厳に慎む。
- 広報活動 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 選考活動 卒業・修了年度の6月1日以降
なお、活動にあたっては、学生の事情に配慮して行うように努める(注1)。
4.採用内定日の遵守
正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降とする。
5.多様な採用選考機会の提供
留学経験者に対して配慮するように努める。また、卒業時期の異なる学生や未就職卒業者等への対応を図るため、多様な採用選考機会の提供(秋季採用、通年採用等の実施)に努める(注2)。
(注1)選考活動の事前連絡についても余裕を持って行うほか、当該学生の事情を十分勘案しながら、例えば授業やゼミ、実験、教育実習などの時間と重ならないような設定とすることや、土日・祝日、夕方以降の時間帯の活用なども含めた工夫を行う。
(注2)留学すると不利になるといった認識が学生に生じることのないようにする観点から、別途の採用選考機会の設定をはじめ、留学経験者向けのさまざまな取り組みを行っている企業は、自社の採用ホームページなどを活用しながら積極的な周知を行うことが求められる。また、多様な経験を経た学生が企業社会で活躍する道を開くため、一括採用のほかに夏季・秋季採用をはじめ、さまざまな募集機会を設けていくことが望ましい。
【労働政策本部】