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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年12月17日 No.3251 「営業秘密保護に関するシンポジウム」開催 -企業における営業秘密保護・管理・活用のあり方など

金子知的財産委員長

経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で「営業秘密保護に関するシンポジウム」を開催した。

経団連では、「『知的財産政策ビジョン』策定に向けた提言」(2013年2月)や「海外競合企業による技術情報等の不正取得・使用を抑止するための対策強化を求める」(14年2月)の公表を通じ、営業秘密の保護強化を求めてきた。こうした産業界の働きかけを受け、政府においては、今年1月に営業秘密管理指針の全部改訂、7月には「営業秘密官民フォーラム」の設置を行うとともに、国会では営業秘密侵害に対する罰則を強化し抑止力を向上させた改正不正競争防止法が成立した。

シンポジウムでは、企業の経営層から実務担当者まで幅広い参加を得て、営業秘密保護をめぐる最新の動向について情報共有を図った。

当日は、金子眞吾知的財産委員長の開会あいさつの後、(1)改正の担当省庁である経済産業省から諸永裕一経済産業政策局知的財産政策室長(2)捜査当局の立場から警察庁から津田隆好生活安全局生活経済対策管理官ならびに佐藤隆司警備局外事情報部不正輸出対策官(3)アカデミアの立場から一橋大学の相澤英孝教授が、それぞれ講演を行った。

諸永室長からは、法改正や指針改訂の概要、官民フォーラムの活動内容および今後の予定について説明があった。改正項目のなかでも関心の高い生産技術等の不正使用に関する「推定規定」については、立証責任の転換を可能とする対象を不正取得された技術のうちの「物の生産方法」に限ることとし、その他の技術については今後審議会等で検討されることが紹介された。また、被害企業の意に沿わない立件が懸念された「非親告罪化」については、「円滑な立件のためには秘密管理性など情報の管理実態の立証についての被害企業の協力が不可欠」と不安の払拭を図る明確な説明がなされた。

津田管理官からは、営業秘密侵害事犯への対処方法等について、主に国内事案を想定した説明があった。これまで営業秘密に関する相談件数・検挙件数は低い水準にとどまっており、事案を認知しても秘密管理性や図利加害目的の立証が困難な事例があったことが紹介され、アクセス制限やパスワード管理、引き継ぎ業務や在宅勤務であるとの言い逃れを許さない環境づくりの重要性が指摘された。

また、事案認知後の初動として、社内における事実関係の調査や対象者への聴取は重要ではあるものの、証拠隠滅の防止に配意する必要があることや、警察への相談の前には電子データなどの客観的証拠の収集・保全が重要であることの説明があった。

佐藤対策官からは、海外事案を想定した説明があった。海外流出の危険性が高い企業情報は軍事転用可能な技術情報にとどまらず、民生分野にも拡大している現状が指摘されるとともに、そうした技術をねらういわゆる「産業スパイ」の特徴が国別に紹介された。また、流出防止に向けて産学官の連携が重要であると強調した。

相澤教授は、三者からの実務的な内容を踏まえ、アカデミアの立場から筋道を立てた整理を行った。今後、知的財産制度を世界共通のものとして拡大させていく重要性を指摘したうえで、国際化が一層加速化するなかでは、知的財産の特許や商標を含めた総合的な活用が重要であり、技術情報についても対象の性質や秘匿した場合のデメリットといった事情を総合的に勘案し、オープン&クローズ戦略を考えていくことが重要になると指摘した。

左から相澤氏、佐藤氏、津田氏、諸永氏

【産業技術本部】

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