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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年11月26日 No.3248 「安倍外交の狙いと達成」 -谷口内閣官房参与が常任幹事会で講演

経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、内閣官房参与の谷口智彦慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授から、「安倍外交の狙いと達成」と題する講演を聞いた。
講演の概要は次のとおり。

安倍総理が2012年末に政権を担ったころ、日本は各国との関係があまり良くなかった。外交を企業のバランスシート(貸借対照表)にたとえるならば、12年末の日本は「債務超過」(関係が良くない国が多い状態)で、「安定株主」(関係が良好な国)が少ない状態であった。また、外交を支えるのは、何よりも国民の自尊心や自信だが、デフレや東日本大震災などにより、国民がまったく自信を持てない状況であった。そのため、安倍総理は就任当初、「自己資本の増強」、つまり各国との関係を改善・発展させる必要を感じていたといえる。

「自己資本の増強」に向けた取り組みは、20年東京オリンピック・パラリンピックの誘致から始まった。12年末の新内閣発足後、安倍総理をはじめ各大臣は、手分けをして各国を訪問し、誘致に向けた働きかけを精力的に行った。アルゼンチン・ブエノスアイレスでのIOC(国際オリンピック委員会)総会では、自ら英語によるプレゼンテーションも行った。こうした努力により、13年9月、オリンピック誘致が決定した。

その後も安倍総理は「地球儀俯瞰外交」を続け、「安定株主」を増やしていった。「最大手」の米国とは、関係を一挙に改善させた。その結果、今では「債務超過」を脱却することができた。国民も安倍外交を支持しているのではないか。

先日、日中韓首脳会談が開催された。非常に有意義なことであり、国家間で何か問題が起きていても、まずは首脳同士が会うということが重要である。今回の会談は、日本の「自己資本の分厚さ」をみた韓国・中国が必要としたものである。そのため、今後も開催されていくのではないか。

アベノミクスにより日本経済に多少の明るさが出てきた。諸外国との関係も良好である。また、20年には東京でオリンピック・パラリンピックも開催される。そのため、国民も未来は明るいと考えているのではないか。今後も「新三本の矢」により経済の好循環実現に取り組むとともに、外交における「自己資本の増強」を行っていくことが重要である。

<意見交換>

その後の意見交換では「韓国とロシアをどうみているか」との質問に対して谷口氏は、次のように回答した。

韓国は、米国・日本に寄るか、それとも中国に寄るかの二者択一を迫られている。半島は陸と海に分極化してしまうのが常である。慰安婦問題については、先日の日韓首脳会談で、将来の世代の障害にならないようできるだけ早期に「妥結」することが共有された。「妥結」は「解決」と異なり、二度とゴールポストを動かさないものである。今後も安倍総理は「原則を曲げない」「次の世代に残さない」という2点で対応していくのだと思う。

ロシアは、米国・英国との関係が悪い。そのため、安倍総理としてもロシアとの付き合いは慎重にならざるを得ないが、プーチン大統領との会談などのチャンスがあれば、それを絶対に逃さないようにすることが重要である。ロシアとの外交は、トップ同士の会談でなければ事が進まない。

【総務本部】

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