経団連は6日、東京・大手町の経団連会館でベルント・ランゲ欧州議会国際貿易委員会(INTA)議長一行と懇談した。日EU経済連携協定(EPA)交渉が妥結した暁には、EU側においては欧州議会の同意が必要となる。同議会で貿易政策を所掌するINTAの見解は、議会の判断を左右することになる。経団連からは、榊原定征会長、ヨーロッパ地域委員会の佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長、清水章同委員会企画部会長ならびに経団連が促進している業界対話関係者も出席し、交渉の行方や協定の内容等をめぐり意見交換した。
冒頭、榊原会長は、いまこそ日EU間で規制協力を推進し、米国も含めた先進国間で公正・透明でグローバルに通用するルールをつくるとともに、規格・基準を調和させ、それらを新興国に横展開を図る必要があり、日EU EPAを合意に導くには、そのような未来志向の姿勢が求められると強調した。
INTA側からは(1)日EU EPA交渉の迅速な妥結に向け、交渉の加速化が必要(2)TPP(環太平洋パートナーシップ)協定を上回る野心的で包括的かつバランスの取れた協定を目指すべき(3)特に、自動車にかかる非関税措置への対応、公共調達に関するバランスの取れた機会の提供、農産品の市場アクセス、地理的表示の保護が重要――との発言があった。
一方、理想的な協定でなければ協定は不要という考え方を採るべきではなく、将来の改善も見据えて協力を進めることが重要との発言も聞かれた。また、いまやEPAは専門家や政治家だけの問題ではなく、一般の人々が強い関心を持っていることに留意すべきとの指摘があり、具体的には、ISDS(投資家対国家の紛争解決)(注)や労働・環境などの持続可能性の問題が挙げられた。
これらに対し、経団連側からEUとの業界対話の現状などについて報告するとともに、日EU EPAが規制協力など未来志向の取り組みを支える重要な制度基盤であることを訴える提言(別掲)を近く公表する予定であることを説明した。
(注)ISDS=投資受け入れ国が、EPA投資章/投資協定に基づく義務に違反する行為によって外国投資家の投資資産に損害が生じた場合に、当該外国投資家が国際仲裁手続に訴えることを可能にするもの
【国際経済本部】