経団連の日本ブラジル経済委員会(飯島彰己委員長)は8月31日、9月1日の両日、ブラジルのポルトアレグレで、ブラジル全国工業連盟(CNI)と第18回日本ブラジル経済合同委員会を開催した。ブラジル側から、フェレイラ・CNIブラジル日本経済委員長、ミューレー・リオグランデ・ド・スル州(RS州)工業連盟会長、サルトーリRS州知事、ゴジーニョ開発商工省対外通商局長、コヘーア・ド・ラーゴ駐日ブラジル大使ら約160名が出席。日本側からは、飯島委員長、大前孝雄同委員会企画部会長をはじめ、43社・143名が出席したほか、梅田邦夫駐ブラジル日本国大使が出席し、安倍首相のメッセージを代読した。今回の合同会議では、昨年8月の安倍首相のブラジル訪問や今年5月に政府の「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」で取り上げられた議題のフォローアップを行った。
討議の概要は次のとおり。
1.日本ブラジル経済連携協定(EPA)
今般、南米最大の経済国であるブラジルを自由貿易圏構築の流れに包摂していく観点から「日本ブラジル経済連携協定に関する共同研究報告書」を発表。グローバル・バリュー・チェーンの連結性を確保するために、関税の引き下げのみならず、投資・サービスの自由化、知的財産権保護、ビジネス環境整備等を含む、包括的な日伯EPAの実現可能性を追求すべきという点で合意するとともに、今年12月に予定されるジルマ・ルセフ大統領の来日に向けて、両国政府に対し働きかけていくことが確認された。
2.ビジネス環境整備と投資誘致
ブラジル側から、IT産業などの今後有望な投資分野が紹介された一方、日本側から、ブラジルの産業競争力強化に向けた現地の日本商工会議所による政策提言活動(中小企業支援、人材育成、輸出加工区の設置、インフラ整備、電力安定供給の5つの重点分野)の進捗状況が報告された。
3.インフラ整備
大都市における旅客輸送インフラの整備について、日本側が海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の投融資を活用したPPP(官民パートナーシップ)案件の推進の可能性、農業関連物流インフラの整備について紹介したのに対し、ブラジル側は、今年6月発表の「ロジスティクス・インフラ投資計画」の概要を説明。具体的なコンセッション案件の選定とその実現につなげていくことが合意された。
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今後、日本ブラジル経済委員会では、12月のルセフ大統領訪日の際に、今回の経済合同委員会での議論を踏まえた日伯EPAの実現やインフラ案件の推進等に関する経済界の要望を伝えるとともに、2016年中に次回合同委員会を東京で開催する予定である。
【国際協力本部】