経団連は15日、「防衛産業政策の実行に向けた提言」を公表した。提言は、防衛省の外局として10月に新設される防衛装備庁の政策に対して産業界の考えを反映させるため取りまとめたもの。
■ 防衛生産・技術基盤の強化
わが国では、主要な国産装備品の調達予算が増えず、一部の企業は事業から撤退するなど、防衛生産・技術基盤の維持が厳しい状況にある。
そこで、企業にとっての予見可能性を向上させるため、国内に保持すべき防衛生産・技術基盤を明確にする必要がある。また、欧米をはじめとする諸外国や国際機関との装備・技術協力を推進するため、防衛装備品協定等の締結を加速すべきである。
■ 防衛装備庁への期待
(1)基本的な役割
防衛装備庁は、防衛省の装備取得関連部門を集約・統合して新設される。防衛生産・技術基盤の維持・強化のため、装備品に関する適正な予算を確保し、人員の充実を図るとともに、陸海空の装備品の調達および国際共同開発・生産等を効果的に進めることが望まれる。(2)具体的な取り組み
防衛装備庁は、中長期的な観点のもと研究開発ビジョンを策定し、将来戦闘機などの新規の装備品の研究開発を推進すべきである。
さらに、国内に保持すべき技術と国・地域に応じて海外移転が可能な技術を明確化した国・地域別戦略と技術戦略を策定し、海外の装備政策の情報収集・分析を行うことが求められる。
具体的なプログラムは3つ挙げられる。第1に、戦闘機F-35について、わが国のF-35に加えて、他国向けのF-35の製造への参画を目指すべきである。
第2は、オーストラリアが選定中の将来潜水艦である。現在、日本、ドイツ、フランスが競争しており、わが国の潜水艦の選定に向けて、官民が連携し対応すべきである。
第3は、ASEANに対する装備品や技術の移転である。南シナ海における海洋監視能力の強化が必要であり、船舶に加えて情報通信インフラ技術等の供与や共同開発が求められる。
また、契約・調達制度の改革について、企業の適正な利潤を確保するため、コスト削減が報われる契約制度の改善が求められる。
■ 産業界の取り組み
産業界として、企業の研究開発投資の拡充等により防衛産業の国際競争力を強化していく。
また、政府の方針のもと、わが国や世界の安全保障に資する装備品の国際共同開発・生産に積極的に貢献する。
今後とも、国民の理解を促進し、防衛産業の発展に努めたい。
※提言全文は http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/080.html 参照
【産業技術本部】