経団連のむつ小川原開発推進委員会(宮永俊一委員長)は8月4日、東京・大手町の経団連会館で2015年度の総会を開催した。
むつ小川原開発地区(青森県六ヶ所村)は1970年代以来、国家プロジェクトとして開発が進展。昨今は原子燃料サイクル、核融合研究、風力・太陽光発電等、多くの最先端施設が立地する総合エネルギー研究開発拠点として注目を集めている。
経団連はかねてより同地区の開発推進に関わってきており、現在はむつ小川原開発推進委員会を中心に、事業主体である「新むつ小川原株式会社」への支援を行い、今年は委員会創設から15年という節目の年にあたる。
総会には、関係委員会を含め約40社から65名が参加。国土庁長官官房審議官などを歴任した高津定弘氏(明治大学専門職大学院ガバナンス研究科兼任講師)を来賓に迎え、「開発プロジェクトとしてのむつ小川原の特色と今後の展望」をテーマに講演を聞いた。
高津氏は、国土計画、地域開発計画の分野で先行している英国で、生産性向上や経済成長の文脈のなかに地域開発計画を位置づけて取り組んでいる事例を示しつつ、国土開発プロジェクトには50年、100年先を見据えて社会の課題への対処を目指す戦略が必要であると説明。69年に策定された新全国総合開発計画(新全総)に基づき整備されたむつ小川原開発地区は、つくば市や豊田市と並んで、人工的かつ大規模な開発によってまちづくりが成功した事例であり、先端的なエネルギー基地となりつつある同地区がわが国の経済成長を後押しするとの期待を示した。あわせて新全総策定から50年余が経過する今、同地区を国内のみならず世界と人材が往来する工業都市へ転換していく必要があると指摘した。
講演後の意見交換では、教育・人材育成の重要性や、インフラ整備からインフラ活用への発想の転換の必要性などについて意見が交わされた。
最後に、新むつ小川原の担当者から同地区開発の最近の状況について、また経団連事務局から昨年度の委員会活動報告・収支決算および今年度の活動計画・収支予算について、それぞれ報告が行われた。
【環境本部】