経団連のサブサハラ地域委員会(野路國夫委員長、加瀬豊委員長)は8月24日、東京・大手町の経団連会館でシリル・ラマポーザ南アフリカ副大統領との懇談会を開催した。当日は、ラマポーザ副大統領のほか、パンドール科学技術大臣ら政府幹部や同国のビジネスリーダーが出席した。ラマポーザ副大統領の発言の概要は次のとおり。
南アフリカは、過去のアパルトヘイトの負の遺産に対処しつつ、自由な民主主義国家と経済成長を実現するため、さまざまな対策を講じてきた。具体的には「自由憲章」(The Freedom Charter)や「国家開発計画」(The National Development Plan)の実行を進め、国民生活の変革を図っている。
なかでも「国家開発計画」は、教育水準の向上と農業、鉱業、建設、中小企業等の雇用吸収力の高い産業の促進に重点を置いている。加えて製造業、金融、通信等の先端産業の成長も図る必要がある。
現在、南アフリカ経済を取り巻く課題の解決に向けて、(1)農業の活性化(2)鉱業の高付加価値化(3)産業政策行動計画の効果的実施(4)中小企業の活性化(5)エネルギー問題の解決(6)労働市場の安定化(7)民間投資の拡大(8)海洋産業の拡大(9)イノベーションの推進――の9項目からなる計画に取り組んでいる。これらに加えて、経済成長の基盤としての道路、鉄道、水道、電力、情報通信といったインフラ整備を進めなければならない。
日本と南アフリカは、TICAD(アフリカ開発会議)プロセスを中心に、力強い協力関係を構築してきた。今後も、日本企業による南アフリカへのさらなる投資をお願いしたい。
現在、わが国からの輸出は原材料が中心であるが、今後は、資源国としての競争優位性を活用しつつ、工業化を進め、付加価値の高い最終品・完成品の輸出を拡大していきたい。そのためには、イノベーションの強化が必要であり、日本との連携を深めていきたい。
【国際協力本部】