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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年8月6日 No.3235 OECD諮問委員会2015年度総会を開催 -竹森慶應義塾大学教授からユーロ圏めぐる動向聞く

経団連のOECD諮問委員会(斎藤勝利委員長)は7月22日、都内で2015年度総会を開催した。当日は、委員会の事業報告・事業計画等の報告に先立ち、慶應義塾大学の竹森俊平教授から、ユーロ圏をめぐる動向について説明を聞いた。竹森教授の説明の概要は次のとおり。

■ 今次ギリシャ問題の特質

いまやギリシャに対する債権の大半は公的機関が保有しているため、世界的な金融危機には発展していない。他方、それが故に解決が先延ばしにされ、また、デフォルトした場合の損失は納税者が負うことになることから、政治的な大問題となっている。

■ ギリシャ支援をめぐる見解の相違

ギリシャに対する第三次支援について交渉が成立するか否かは不透明である。ギリシャが、民営化の対象となる国有資産500億ユーロを提供できるのかどうか、また、15年のGDP成長率がマイナス4%とも見通されるなかでプライマリーバランス黒字1%を達成できるのかどうか、定かでないという問題がある。

加えて、債権者側に意見の相違がある。債務国の支払い能力、すなわち財政の持続可能性を融資の条件としているIMFは、ギリシャの債務を大幅に減免しない限り、支援に加わらない方針である。これに対してドイツは、IMFが参加しないギリシャ支援策はあり得ないとする一方、非救済条項に反する債務の減免は認めない方針である。

減免を認めるとすれば、ギリシャがユーロ圏から一時的に離脱する場合であって、ショイブレ財務大臣が交渉過程で提示した「秩序あるユーロからの離脱」が条件と考えている。しかしながら、一時的にせよ、ユーロ離脱があり得るとなれば、将来、ユーロ参加国が危機的な状況に陥った場合に当該国の国債が売り浴びせられることになる。そのような事態を恐れるイタリアとともに、ルールを破った国に退場を迫るような手法は欧州統合の理想に反すると考えるフランスは、ドイツに反対した。

■ ギリシャ問題の解決の方向性

こうした原理原則にかかわる立場の違いのなかにあって、ギリシャ問題を解決するには、ギリシャを特例扱いとしドイツが債務減免を認めること、あるいは、フランスが一時的なユーロからの離脱を認め、その間に債務減免を実施することである。ギリシャ問題の最終的な解決には、いずれにしても債務減免が必要であり、一番無理のない方法で実施することが望ましい。

他方、ユーロ問題の解決に不可欠な財政統合については、ギリシャ問題への対応をめぐってドイツとフランスの考え方の違いが鮮明になったことから、かえって実現は遠のいたと考えられる。

【国際経済本部】

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