経団連のヨーロッパ地域委員会(佐藤義雄委員長、石塚博昭委員長)は17日、東京・大手町の経団連会館でグザヴィエ・ベッテル・ルクセンブルク首相との懇談会を開催した。
冒頭、座長を務めた石塚委員長から、今年下半期のEU議長国として、優先課題の1つに日本とのEPA交渉の妥結を掲げたこと、また、議長国就任後、ベッテル首相が最初のEU域外国への訪問先として日本を選んだことに謝意を表明するとともに、日EU経済連携協定(EPA)の早期締結について、あらためて首相の理解と支援を求めた。なお、ヨーロッパ地域委員会では、10月にルクセンブルクをはじめ欧州にミッションを派遣する予定である。
ベッテル首相の発言概要は次のとおり。
現在、EUと日本との間では、EPAとSPA(戦略的パートナーシップ協定)の交渉が進行している。重要なことは、協定が win‐win の内容となっていること、両者の交流がもたらす可能性を活かすためには扉を開けなければならないことを、説明できるかどうかである。ルクセンブルクとしては、扉を開けるよう、交渉を後押ししていく。経団連が、明るい未来のためには、海外との交流が必要だと企業や国民に説明していることに敬意を表する。
ルクセンブルクと日本とはすでに成熟した関係にあるが、さらに関係を強化することは可能である。両国とも伝統を重んじているが、それに頼っているだけでは明日はない。ルクセンブルクは、もとは農業国であったが、鉄鋼、通信技術、金融と中心産業を移行させてきた。ルクセンブルクの今があるのは、伝統を重んじながらも、常に明日を考えてきたからである。明日の日本との関係を考えた場合、関係強化の可能性があるのは、物流、ICT、生命科学、自動車、航空・宇宙などの分野である。ルクセンブルクは、面積は大きくないが、EUの中央に位置しており、EU市場への大きな扉、拠点として地の利がある。われわれは、ビジネスの推進や研究開発に積極的であり、企業が進出するには良好な環境が整っている。
なお、ギリシャ問題について、同国が現状から抜け出すためには、緊縮策だけでなく、投資も必要である。ギリシャが努力する一方、われわれは連帯し、支援する。ユーロ圏首脳会議の合意にはそのすべてが盛り込まれている。政治家に必要なことは、人々の声に耳を傾け、決定を下し、下した決定を説明することである。幸いにも欧州経済は上向きである。これまでと同様、欧州は強いということを示していきたい。
【国際経済本部】