経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で消費者政策委員会消費者法部会(土屋達朗部会長)を開催し、消費者庁の川口康裕次長、加納克利消費者制度課長、山田正人取引対策課長、真渕博表示対策課長から消費者法制をめぐる最近の動向について説明を聞き、意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 消費者契約法の見直し
消費者契約法の見直しについては、昨年8月に消費者委員会に諮問し、消費者委員会消費者契約法専門調査会で検討中である。情報通信技術の発達や高齢化の進展等を踏まえ、「勧誘」要件のあり方や、合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型に対する対応について議論している。企業への影響も踏まえ、どこまでを救済の対象にするのかという一定の切り分けが議論のポイントである。専門調査会では、8月にその時点での取りまとめが行われ、9月以降事業者団体等からのヒアリングなども含め、引き続き審議が行われる予定である。
■ 消費者裁判手続特例法の施行準備
消費者裁判手続特例法の施行に向け、「特定適格消費者団体の認定、監督等に関するガイドライン案」等のパブリックコメントを実施中である(6月10日~7月10日)。ガイドライン案には、事業者が懸念する濫訴の防止措置として、濫訴にあたり得る具体的な事例を明記したほか、消費者庁による特定適格消費者団体の監督についての考え方を記している。
■ 特定商取引法の見直し
特定商取引法の見直しについては、今年1月に消費者委員会に諮問し、消費者委員会特定商取引法専門調査会で検討中である。繰り返し違反行為を行う悪質な事業者に対する執行の強化策や、訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘規制のあり方等について議論している。専門調査会では、8月に取りまとめが行われ、状況により9月以降さらなる検討が行われる予定である。
■ 改正景品表示法の施行準備
不当表示を行った事業者に対する課徴金制度の導入等を内容とする昨年11月成立の改正景品表示法の施行に向け、課徴金算定の基礎となる「売上額」の算定方法等を定める政令案の内容について現在検討を行っている。政令案については、今年の秋ごろにパブリックコメントを実施する予定である。
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意見交換では、「消費者法制の見直しにあたっては、必要な消費者保護・救済の手段を用意しつつも経済成長の足かせにならないような制度とするという観点も十分確保すべき」との意見が委員側から寄せられたのに対し、川口氏は、「消費者庁としては経済政策全体の中での消費者政策の位置づけも見据えながら、適切な規律のあり方を検討していく」と答えた。
【経済基盤本部】