経団連は5月27日、東京・大手町の経団連会館で宇宙開発利用推進委員会企画部会(中谷義昭部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。在日フランス大使館宇宙開発部のピエール・アンリ・ピザニ参事官とエステーブ・アカシュマール参事官補佐から、フランスの宇宙政策および日仏宇宙協力について説明を聞くとともに意見交換を行った。ピザニ参事官の説明の概要は次のとおり。
■ CNESの活動
フランスはヨーロッパの宇宙活動を牽引していると自負しており、CNES(フランス国立宇宙研究センター)を中心に、宇宙に対するアクセス・科学・地球観測・通信・防衛等、その活動は多岐にわたる。そのため国内では、CNESは国民教育・高等教育・研究省、外務省、国防省などさまざまな省庁と協議している。
一方、ヨーロッパでは、欧州宇宙機関(ESA)にフランス政府を代表して参加するとともに、欧州連合(EU)にも参画している。また、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)をはじめ、世界各国の宇宙関係機関とも連携している。
■ CNESの概要
CNESは、パリの本部で宇宙政策の方針を策定する。フランス南部のトゥールーズにある宇宙センターで宇宙システムの開発や運用を行い、南米の仏領ギアナでロケットを打ち上げている。
また、今年5月にCNESのジャン=イヴ・ル・ガル理事長は、日仏宇宙協力への貢献が認められ旭日重光章を受章し、天皇陛下に拝謁した。なお、ル・ガル理事長は、日・EUビジネスラウンドテーブルで経団連の米倉弘昌前会長と共同議長を務めていた。
CNESの2015年の予算は22億ユーロであり、ロケットに関する予算が占める割合が大きい。
■ 宇宙プログラム
ヨーロッパのロケットには「ベガ」「ソユーズ」「アリアン5」の3つがある。このうちアリアン5が基幹ロケットであり、日本のH2ロケットに相当する。CNESをはじめ欧州各国の宇宙機関の努力により、アリアン5の信頼性は高い。競争力を強化するため、次期ロケットの「アリアン6」では、コストを半減することを目指している。
また、海外と協力しながら、科学プログラムを実施している。例えば日本の「はやぶさ2」の小型着陸機はフランスなどが開発した。またCNESは、欧州の測位衛星である「ガリレオ」の管制センターを保有していることに加え、米国、中国、インドなどとも協力を進めている。
【産業技術本部】