■ 電気通信業界の取り組み
ICT(情報通信技術)は、日常生活や経済活動を支える重要な社会基盤として、その役割がますます増大してきている。また、その利活用は、安心・安全な社会の実現や生産性・利便性の向上、雇用の創出、新たな付加価値の創造、新市場の創出など、経済成長のための重要なカギとなるとともに、エネルギー利用の効率化や物流の効率化などを通じて、社会全体の省エネルギー化やCO2排出削減に寄与することが期待されている。
一方で、ICTの発展による機器の高機能化やトラヒック(通信量)の増加等に伴い、電力使用量の増加が懸念されており、ICT企業には地球環境問題への一層の配慮が求められている。
そのため、電気通信業界は、自らの事業活動に伴うCO2排出量の削減に努める(Green of ICT)とともに、ICTサービスの積極的な開発や普及・拡大に努めることで社会全体の環境負荷削減につなげる取り組み(Green by ICT)を推進し、低炭素社会の実現を目指している(図表1参照)。
1.Green of ICT
- (1)使用する装置(通信機器、空調、電源設備等)は、機能、性能、コストに加え、省エネ性能を考慮し、開発・調達を推進
- (2)データセンタ等のICT施設では、仮想化技術の導入、直流給電システムの開発・導入等により低消費電力化を推進(図表2参照)
- (3)自然エネルギーなどクリーンエネルギーの積極的導入
2.Green by ICT
- (1)クラウド型サービスなど、ワークスタイル変革を支援するサービスの提供により、業務効率化に貢献するとともに、テレワークやモバイルワークが可能となり、移動によるCO2排出削減やペーパーレス化に貢献
- (2)住宅やビルなどのスマート化にとどまらず、地域全体の「見える化」と「最適制御」によるスマートコミュニティの創造に注力。国内各地で実証実験を推進
■ 低炭素社会実行計画の策定
電気通信業界は、地球環境問題への取り組みが、企業の存在と活動の必須の要件であることに留意し、地球温暖化対策や循環型経済社会の構築に向けて自主的かつ積極的に取り組むため、1999年に「環境自主行動計画」を策定し、温暖化対策を推進してきた。
2013年からは、経団連の「低炭素社会実行計画(フェーズⅠ)」に参画し、2020年の削減目標(契約数当たりの電力使用量原単位について、2010年度比で1%以上削減)の達成に向けて、(1)国内の事業活動における排出削減(省エネ設備や省エネ技術の導入等)(2)主体間連携の強化(ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会の取り組み等)(3)国際貢献の推進(国際標準化の推進等)(4)革新的技術の開発(超省エネデバイス技術の開発等)の取り組み――を推進している。
また、2030年度を目標とする「低炭素社会実行計画フェーズⅡ」も策定したところであり、引き続き地球環境問題の解決に向け取り組んでいく。
■ ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会の取り組み
地球温暖化対策に業界を挙げて取り組むため、電気通信関係5団体(注)による「ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会」を2009年6月に発足させ、2010年2月に「ICT分野におけるエコロジーガイドライン」を策定・公表した(現在第6版まで公表)。
同ガイドラインでは、ICT機器の省エネ性能の評価法や基準値を策定しており、電気通信事業者の省エネ装置調達基準のベースとなるとともに、参加企業各社は、ガイドラインに基づき、省エネ性能の高い機器の開発を実施し、製品開発と調達の両輪でエネルギー削減に取り組んでいる。
(注)電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、情報通信ネットワーク産業協会、ASP・SaaS・クラウドコンソーシアム
(電気通信事業者協会)
【環境本部】