3月14日から18日にかけて、宮城県仙台市で第3回国連防災世界会議が開催され、2030年までの国際的な防災・減災の取り組みの指針となる「仙台防災枠組 2015―2030」が採択された。全日程を通じて、187の国連加盟国から首脳級を含め6500人以上が参加、関連事業を含めると国内外から延べ15万人以上が参加した。
経団連は、東日本大震災以降、毎年防災に関する提言を公表している。これまでの取り組みを踏まえ、防災に関する委員会の橋本孝之共同委員長、柄澤康喜共同委員長が同会議に参加し、これまで培われてきた知見やわが国企業の有する優れた防災・減災技術・システム等を世界へ発信した。
両共同委員長の発信内容の概要は次のとおり。
■ 国連主催会合への参加
計40カ国ほどの閣僚らが出席したラウンドテーブルに、民間部門を代表して橋本共同委員長が出席した。同ラウンドテーブルでは、防災・減災対策のための公共投資について議論が行われ、民間経済界の立場から防災・減災投資に関する五つの重点項目を提言した。
1点目は従業員とその家族の生命を守るための対策の推進、2点目は事業継続計画(BCP)・事業継続マネジメント(BCM)連携の推進、3点目はよき企業市民としての地域への貢献、4点目はわが国企業の有する防災・減災技術の積極的な活用、そして5点目は行政による各種情報のオープン・データ化と、民間企業の有する情報通信技術(ICT)を活用した統合情報基盤の整備である。
また、橋本共同委員長は、「ハイレベル協働対話」にも参加した。同セッションでは、マルチステークホルダーの協働による防災・減災対策の推進に向けて、女性、障害者、若年層、NGO等の多様な主体により活発な議論が行われた。こうしたなか、橋本共同委員長は、経済界を代表して3点提言を行った。
1点目は、ICTを最大限活用し、統合情報基盤を整備することにより、災害発生後早期に情報を収集、共有、分析できるようにすること、2点目は、地域における官民連携を促進していくこと、そして3点目はわが国企業の有する防災・減災技術を積極的に活用していくべきことである。
■ 日本国政府主催会合への参加
東日本大震災総合フォーラム「我が国防災の展望 究極の防災対策を目指して~兵庫から仙台、そして未来へ」にわが国経済界を代表し、柄澤共同委員長がパネリストとして登壇した。東日本大震災以降の経団連の取り組みを発表するとともに、「仙台防災枠組 2015―2030」の実効性向上に向けて、わが国企業が果たすべき役割について3点を提言した。
1点目は、わが国企業の防災・減災技術・ノウハウの世界への展開、2点目は行政、国民との連携によるリスクコミュニケーションの徹底、3点目は、地域における官民連携の推進である。
こうした経団連からの意見発信は、同会議において採択された「仙台防災枠組 2015―2030」に反映された。具体的には、災害対応のための優先行動において、ICTの利活用による情報の迅速な収集・分析・共有の実現が盛り込まれたほか、マルチステークホルダーの役割の一つとして、企業経営に災害リスクへの対応という観点を盛り込んでいくこと等が明記された。経団連としては、わが国を含む国際社会における防災力の向上に向けて、引き続き積極的に取り組んでいく。
【政治社会本部】