経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で常任幹事会を開催し、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の久間和生議員から、「我が国の科学技術イノベーション戦略」と題する講演を聞いた。
講演の概要は次のとおり。
■ 総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)
CSTIは、内閣総理大臣を議長とし、科学技術政策の企画立案および総合調整を行う機関である。持続的経済成長と豊かな国民生活の両立を実現し続けるためには、戦略的なイノベーション創出が必要であり、2014年5月に内閣府設置法改正により「総合科学技術会議」から「総合科学技術・イノベーション会議」へ改組され、科学技術振興策だけでなくイノベーション創出を目指した政策を進めている。現在有識者議員のうち産業界出身者が2名から3名に増え、産業界の声がより反映されやすくなった。
■ 科学技術イノベーション政策
13年6月に「科学技術イノベーション総合戦略」を閣議決定し、経済再生を強力に推進するため、エネルギー、健康長寿、次世代インフラ、地域再生、震災復興の五つを重点分野に設定した。14年6月には、重点分野解決に向けた取り組みの質的強化に向けて、ICTやナノテク等の分野横断技術の深掘り等の三つの視点を踏まえた「科学技術イノベーション総合戦略2014」を閣議決定した。
また、CSTIの司令塔機能を強化するために、(1)科学技術イノベーション予算戦略会議を開催し、政府全体の科学技術関係予算の編成を主導すること(2)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)により、府省の枠を超え、基礎研究から実用化・事業化までを見据えた研究開発を推進し、グローバルマーケットを創出するイノベーションを実現すること(3)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)により、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を通じて、産業や社会を変革する破壊的なイノベーションを創出すること――等に取り組んでいる。
■ 第5期科学技術基本計画
現在、CSTIでは、2016~20年度の第5期科学技術基本計画の策定に向けた検討を行っている。第5期基本計画では、強い産業をより強くし、デジタル革命を牽引する新産業を創出するための具体的な施策を盛り込みたい。
まず我が国の産業構造と社会構造のあるべき姿を描き、国民、産学官が目指すべきビジョンを共有すること、また、CSTIが、科学技術予算全体の最適配分や分野別司令塔との連動を図ることが重要だと考えている。
■ 経団連への期待
イノベーション創出のメインパートナーは産業界である。経団連には、産業界として、第5期基本計画に向けて何が最も重要と考えるのか、優先順位、重要度等を明確に示した提言を出してほしい。今後は、産学官がビジョン・目標を共有し、着実に、かつスピーディに推進することが重要である。密接な連携を実現するための施策について議論したい。
【総務本部】