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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月26日 No.3213 不祥事発生時の実務対応を聞く -企業行動委員会企画部会

説明する國廣氏

経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で企業行動委員会企画部会(西川修部会長)を開催し、国広総合法律事務所の國廣正弁護士から、「不祥事発生時の実務対応」について説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。

■ 危機管理の基本

危機管理においては、自社、業界の内向きの論理ではなく、「世の中が何を求めているか」を適切に認識することが重要である。

例えば、企業と反社会的勢力との関係について、かつては反社会的勢力への利益供与、癒着が問題視されてきた。しかし、現在では、反社会的勢力との一切の関係を遮断することが求められるようになっている。このような世の中の変化を認識したうえで危機管理にあたらないと、社会的に大きな非難を浴びることになる。

また、「隠蔽をしない」ことが重要である。わが国の企業不祥事の特徴は、問題の先送りや不作為の結果、「隠蔽」をしたとして非難を浴びる事例が多いことである。

例えば、ある粉飾決算の事例では、バブル期の財テクによる損失の発生それ自体は違法ではないが、そのことを説明してこなかったことが隠蔽と評価され、社会的信用の失墜につながった。このように、最初に発生した問題それ自体ではなく、その後の対応を誤った結果致命傷を招く「二発目轟沈」を防ぐことが重要である。

■ 危機管理とマスコミ対応

企業不祥事が発覚した後の広報対応としては、隠蔽したという批判を回避することが重要である。積極的な隠蔽行為をしていなかったとしても、対応の遅れや不作為が隠蔽と評価され、マスコミからの非難を招く。

また、「連続報道を防ぐ」ことも重要である。企業不祥事は、新聞の1面に取り上げられたから多くの人の記憶に残るのではなく、情報を小出しにすることにより連日、連続して報道がなされると、大きな問題を起こしたとの印象を与える。危機管理広報においては、報道を短期間で終わらせることに注力すべきであり、その前提として、広く、深く事実の把握を行うことが必要である。往々にして、不祥事の際には「言いたくない」「見たくない」と事態を過小評価する場合があるが、社内の評価軸で事実を把握するのではなく、社外の目から不祥事を評価していくことが求められる。

■ 「リスクベース・アプローチ」による危機の予防

危機の予防の観点からは、メリハリをつけたリスク管理が重要である。

コンプライアンス・内部監査においては、チェックリストを確認していくことが一般的であるが、企業が大きなダメージを受けるのは、チェックリストに載っていない世の中の価値観が動いているようなものに対してである。危機管理に投入することができる資源が限られているなかで、効果的に危機の予防をするためには、広く世の中の動きをとらえたうえで、リスクが顕在化する可能性が高い領域を分析し、問題発生への想像力を働かせて予防に取り組む「リスクベース・アプローチ」を行っていくことが重要である。

【政治社会本部】

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