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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月26日 No.3213 シンポジウム「経営戦略としての国際標準化」を開催 -標準化を戦略的に活用するための方策探る

基調講演やパネルディスカッションを展開した
シンポジウム「経営戦略としての国際標準化」

経団連は9日、東京・大手町の経団連会館で経済産業省、日本工業標準調査会(JISC)、日本規格協会、国際標準化協議会とともにシンポジウム「経営戦略としての国際標準化~ビジネスエコシステム思考の戦略的活用」を開催した。

グローバル化に伴うわが国企業の海外市場進出により、国際標準化への対応の重要性が高まっている。昨年、経済産業省は標準化官民戦略会議を立ち上げ、経団連の日覺昭廣知的財産委員長をはじめとした業界団体トップクラスのメンバーによる検討の結果、官民で進めるべき取り組みをまとめた「標準化官民戦略」が5月に策定された。同戦略のなかには、経団連等関係団体を通じた経営者層への戦略的な標準化に関する啓発が挙げられている。そこで経団連では、経営者層から標準化実務担当者までを幅広く対象としてシンポジウムを行うこととした。

当日は日覺委員長の開会あいさつ、野間口有JISC会長と藤澤浩道元IEC(国際電気標準会議)副会長からの基調講演の後、渡部俊也東京大学政策ビジョン研究センター教授をモデレーターとしてパネルディスカッションを開催。パネリストは片瀬裕文経済産業省産業技術環境局長、藤澤・元IEC副会長、二瓶亮LIXIL専務執行役員、近藤賢二三菱電機常務執行役、成富正徳大成プラス相談役、山下光彦日産自動車取締役。

■ 基調講演

野間口氏は、わが国における国際標準化活動について、標準化によるオープンの面と、収益源となるコア技術であるクローズの面を使い分ける事業戦略が有効と強調。

藤澤氏からは、海外における国際標準化の動向を踏まえ、国際標準化は自ら新市場の流れをつくることであるとともに、人的・組織的なネットワーク構築による初期投資・リスク管理の一環であると指摘した。

■ パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、冒頭片瀬氏から、標準化に関する制度の充実に政府としても取り組んでいるので、企業の経営戦略に標準化を盛り込んでほしいとの期待が示された。これを受け、(1)標準化のリーダーシップを取ることは、市場や他社の動向等に関する情報の入手とそれを活用した有効な検討につながる(2)個々の技術ではなくシステム全体での標準化を考えるべきである(3)グローバル化による企業の海外進出やIT化により産業の境目がなくなりつつあるといった背景に鑑み、標準化へは今後当たり前に取り組まなければならない(4)コア技術のブラックボックス化により、中国でもオープンクローズ戦略を実現できている(5)限られた人手で、政府の支援制度を活用して標準化に取り組んでいる(6)インフラ部分の標準化を制することが、市場での優位性に大きく影響する(7)標準化すべき部分かどうかは、経営トップが判断すべき――といった意見があった。

渡部氏は、「標準は自社を取り巻くビジネスエコシステムのなかにあるさまざまな企業同士の関係性に対して影響力を与えられる重要なツールであり、知財との併用でその影響力はさらに大きくなるので、これらを戦略的に活用すべきである」と総括した。

【産業技術本部】

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