経団連(榊原定征会長)は17日、提言「個人情報保護法等の制度改正に向けた意見」を公表した。
世界の企業は、膨大な情報(いわゆるビッグデータ)の収集、蓄積、分析、革新的利活用策の開発競争を繰り広げており、データ利活用の巧拙が競争力そのものに直結する状況になっている。
こうしたなか政府の「日本再興戦略」において、世界最高水準のデータ利活用環境整備を行うことが示され、特に利用価値が高いと期待されるパーソナルデータの取り扱いについて、政府IT総合戦略本部に「パーソナルデータに関する検討会」(以下、検討会)を設置し、個人情報保護法改正についての検討が行われた。経団連も検討会に参画し産業界の意見を述べるとともに、昨年3月には提言「個人情報保護法の見直しへの意見」を公表し、産業界の考え方を取りまとめた。その後、政府IT総合戦略本部は、検討会の検討結果を受けて昨年6月に「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」を決定した。その内容を基に政府内で法案化作業が行われ、昨年12月に検討会において、「パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子(案)」(以下、改正法骨子案)が内閣官房から示され、今通常国会に改正法案が上程される見通しである。
そこで、経団連ではあらためて同提言を取りまとめた。概要は次のとおり。
■ 提言の概要
提言は、(1)個人情報の定義の拡充(2)匿名加工情報に関する規定の整備(3)グローバル化に対応するための規定(4)第三者機関の新設およびその権限(5)新たに設けられた保護強化策(6)官民間のデータ流通促進に向けた環境整備――の6項目についての考え方を示している。
今回の改正法骨子案においては、ビッグデータ処理を推進する方策として、個人情報から特定の個人を識別することができないよう加工したものを「匿名加工情報」と定義し、その加工方法を定めるとともに、取り扱いについての規律を設けることが示された。
また、内閣府の外局として、独立性の高い第三者機関の設置が盛り込まれている。経団連は従来から重複行政の排除を求めてきたが、改正法骨子案では立入検査権限が事業所管大臣に委任できる建てつけとなっている。そこで、委任できる場合と範囲を明確に限定すること、また、権限行使要件の明確化や第三者機関の判断に異議申し立てを可能とするよう、制度的に担保すべきことを求めている。
■ 今後のスケジュール
今通常国会に個人情報保護法の改正案が上程され、改正法の成立後、政省令や第三者機関規則を定め、周知および準備等を実施したうえで施行される見込みである。
経団連は、引き続き産業界の考え方を反映すべく、関係方面に働きかける。
※提言の全文は、http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/018.html 参照
【産業技術本部】