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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年2月12日 No.3211 わが国経済外交における知財戦略のあり方を聞く -経済外交委員会企画部会

経団連の経済外交委員会企画部会(清水祥之部会長)は1月29日、東京・大手町の経団連会館で、日本知的財産協会の久慈直登専務理事から、わが国経済外交における知的財産戦略のあり方について説明を聞いた。
説明概要は次のとおり。

■ 各国の知財戦略

欧米ほか各国では、政府の全面的な関与のもと、知財戦略を展開している。例えば欧州連合(EU)においては昨年、欧州の審査基準や裁判制度を世界標準とすべく、加盟国共通の統一特許ならびに統一特許裁判所を創設した。

また、米国でも2013年、米国の特許制度を世界標準化する戦略の一環として、「先発明主義」(先に発明した者に特許を付与)から「先願主義」(先に出願した者に特許を付与)へと法改正した。

さらに、韓国政府は韓国企業の国際知財競争力を強化する観点から、特許庁のみならず全省庁を挙げて企業を支援する一方、中国政府は15年の出願件数250万件を目標として、強力な資金援助を行っている。

■ 知財をめぐる動向

IT関連の知財買収の増加に伴い、知財を取り引きする市場が注目を集めている。各国で知財に関する官民投資ファンドが拡大するなど、知財を金融商品として扱う動きが加速している。

また、知財ネットワークの拡大は、オープンイノベーション(注)の促進ももたらしている。例えば米大手製薬企業などは、インターネットを通じて、骨がん治療に資する細胞系に関するアイデアを募り、多額の研究開発資金を提供している。得られた成果を特許化して買い取る手法は、日本の製薬業界や他業種でも散見されるようになっている。

(注)オープンイノベーション=自社技術だけでなく他社や大学等が持つ技術やアイデアを組み合わせ、革新的なビジネスモデルや革新的な研究成果、製品開発につなげる方法

■ 日本企業の知財戦略の変遷

こうした状況下、日本企業はいかに対応すべきか。韓国や中国等の知財戦略が今日ほど強力でなかった05年以前、日本企業は、知財ベース経営による成長性向上や産学連携における外国人研究者の活躍の場増大など、いわば「王道」とも呼ぶべき戦略を取っていた。

しかし、知財をめぐる国際競争の激化に伴い、知財部門内に標準戦略室を設置したり、侵害を立証できない重要技術は公開しないなど、日本企業の戦略も大きく変化している。

■ 国および企業がなすべきこと

新興国では、政府と企業の相互依存が極めて強く、この知財戦略に対抗していくには、高度な官民連携が不可欠である。

国からの有効な支援策としては、(1)最新情報の収集および民間企業への提供(2)外国出願や標準規格取得に当たっての資金援助(3)海外進出時の知財支援機関間の連携など現地での支援――が挙げられよう。

一方、企業としては、各国政府および国内外主要企業の動向や環境変化等を踏まえ、(1)あらゆる最新情報の自社戦略への反映(2)異分野エキスパートの投入と利活用(3)海外での権利行使(4)ノウハウ・マネジメントの実行(5)知財取引市場の注視と参加(6)オープンイノベーションの活用(7)標準化の情報分析・対応――等の取り組みが必要である。

【国際経済本部】

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