日EU経済連携協定(EPA)交渉は、今年4月に始まり、これまでに3回の会合が開催されているが、その行方は必ずしも楽観できない状況にある。交渉開始から1年後の来年4月ごろには、EU側が非関税措置にかかわる日本側の取り組みを評価し、交渉を継続するかどうかを判断することになっており、それを乗り越え、協定の早期締結を実現するためには、経済界からの一層の働きかけが必要である。
そこで、経団連では、日EU定期首脳協議の東京での開催(19日)を控えた15日、欧州の経済団体であるビジネスヨーロッパ、欧州商工会議所とそれぞれ日EU EPAの早期締結を求める共同声明を取りまとめ公表した。19日には、定期首脳協議に出席のため来日したカレル・デ・ヒュフト貿易担当欧州委員に対し共同声明を手交した。
■ 欧州経済団体との共同声明の概要
声明では、まず、交渉の開始を歓迎するとともに、その成り行きを重大な関心を持って注視しているとしたうえで、協定は野心的かつ包括的なものであるべきと主張している。また、協定締結によって成長と雇用をもたらし、グローバルな貿易システムを強化するためには、日EU双方においてゆるぎない政治のコミットメントが求められるとしている。そして、首脳協議の結果、双方の首脳から協定の早期締結を目指すとの明確なメッセージが発信されるよう期待を述べている。
さらに、日EU EPAと並行して環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)、環太平洋経済連携協定(TPP)等の交渉が進められるなか、(1)先進国間で規制が乖離しないように留意すること(2)グローバルに通用するルールを策定すること(3)日EU間の規制の整合性の確保、規格・基準等の調和・相互承認の推進など業種横断的な課題に取り組むこと――を求めている。最後に、経済界の役割として、業種固有の問題に関し双方にメリットのある解決策をもたらすために、引き続き日EU間の業界対話を促進するとともに、交渉のあらゆる局面において意見具申、情報提供を行う用意がある旨付言している。
■ 日EU定期首脳協議の共同プレス声明
日EU定期首脳協議の成果として19日に発出された共同プレス声明には、日EU EPAについて、「可能な限り早期の締結に向けた決意を改めて表明し、関係大臣や欧州委員に対して、交渉を一層進展させるよう指示した」旨が盛り込まれた。
※共同声明全文はホームページ(http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/098.html)参照
【国際経済本部】