経団連の教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)は10月29日、東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京都練馬区)を訪問し、同校が取り組む国際バカロレア(IB注)の中等教育プログラムの授業を見学するとともに、グローバル人材育成に向けた教育について出口利定校長らと懇談した。
同校は、国公立では初めてのIB認定校として中高6年間の一貫したカリキュラムでIB教育を実施、海外帰国生や外国籍の生徒を積極的に受け入れ、国際理解・人間理解・理数探究を柱に生徒がともに学び、互いを高め合える環境を整えながらグローバルな視野を持つ生徒の育成に力を入れている。
■ IBプログラムの実践と期待
同校では、母国語以外の言葉を使用して数学や理科などの授業を行う「イマージョン教育」を行っている。英語イマージョンでは英語を学習の道具として使用することで、教科内容と一緒に通常の英語教育では伸ばすことが難しい認知・学習面の英語力も習得することが期待されており、3年生の授業から取り入れられている。今回見学した理科実験のイマージョン授業では、英語で説明する先生の話を懸命に聞きながらグループでディスカッションし、日本語と英語が飛び交うなかで楽しそうに実験に取り組む生徒の姿がみられた。
■ グローバル人材育成にむけて
懇談では、経団連側から、「通常の学習指導とIBプログラムの授業を一緒に行うことは、教師の負担が大きいのではないか」と指摘したのに対し、IBプログラム担当の星野あゆみ教諭は、「評価法は煩雑だが、IBは概念を教えるものなので学習指導要領に沿った授業で展開ができる」と回答。また、「これからは地球規模の諸問題を解決していかなければならない時代。高い学力はもとより、しなやかな思考で多様な価値観を持つ人々と共生し、国際社会で活躍できる人材の育成にはIBのような探求型教育の推進は不可欠」との意欲を示した。
(注)国際バカロレア(IB)=インターナショナル・スクール等の卒業生に国際的に通用する大学入学資格を付与する仕組みとして国際バカロレア機構が開発した教育プログラム。年齢に応じて「初等教育」「中等教育」「ディプロマ」の三つのプログラムに分かれている。
【社会広報本部】