経団連の観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)は、観光立国日本の将来を担う人材の育成に向け、2011年度から立教大学観光学部と連携のもと、経団連インターンシッププログラムを実施している。3年目を迎える今年度は24名の学生が、企業等から派遣された講師による座学と派遣先での10日間の職業実習に取り組んできた。同プログラムの締めくくりにあたり16日、学生たちがインターンシップ先を含む経団連会員企業・団体の役職員、立教大学観光学部の教員・学生らを前に、職業実習の成果についてプレゼンテーションを行うとともに、参加者と意見交換を行った。報告会には約170名が参加した。
開会あいさつで大塚委員長は、「日本は、世界のなかでのイメージは良いものの、そのブランド力を活かしきれず、まだ観光後進国にとどまっている」と指摘。わが国を観光先進国に押し上げるためにも、20年の東京五輪開催時には中堅社員となる学生たちの活躍を期待すると述べた。
また、立教大学観光学部の村上和夫学部長は、インターンシップ協力企業・団体に謝辞を述べるとともに、わが国が拡大を続ける国際観光の市場を取り込んでいくためには、今の学生たちがわが国の観光産業を再構築していく必要があると述べ、学生たちの奮起を促した。
続いて行われたインターンシップ報告では、学生たちが、三井不動産商業マネジメント、東京モノレール、鉄道博物館、味の素、びゅうトラベルサービス、ANAセールス、アサヒビールコミュニケーションズ、ヤマト運輸、博報堂、三菱UFJニコス、近畿日本ツーリスト、森トラスト・ホテルズ&リゾーツの順番で、実習における具体的成果、目標の達成状況、今後の課題などについて報告を行った。
これらの報告後の質疑応答では、「地域の同業者との関係では自社の強みを意識したマーケティングが求められる一方、市場を拡大するためには競合相手とも連携する必要がある」といった指摘が学生と企業人双方から出された。また、「実習先での他大学の学生との交流を機に、外国人観光客誘致を意識している点で観光学部生としての強みに気づく一方、収支構造も踏まえた事業提案の必要性にも気づかされた」との学生の発言に対し、「観光学部でも収支構造を学ぶ機会を増やすべき」と、企業人から大学側に対する提案もあった。
閉会あいさつした山口共同委員長は、学生たちの発表を高く評価したうえで、「外国人との相互理解を深め、国際関係を強化するためにも、日本の経済社会の底流にある文化への理解も深めてほしい」と期待を述べた。また、企業側は、企業理念と実際のビジネスとの関係をより明確にすること、大学側は、理論と実践の両面での教育を強化することなど、産学もさらに努力することで、観光産業の成長産業化を実現したいと締めくくった。
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経団連では今後、立教大学観光学部との連携を継続する一方、他大学にも展開し、観光立国実現に向けた人材育成を加速していく。
【産業政策本部】