経団連は16日、東京・大手町の経団連会館で、経団連と米国財務管理者協会(FEI)との共催で、米国財務会計基準審議会(FASB)のゴールデン議長らを招き、懇談会を開催した。
会合には経団連会員企業、FEI加盟企業のほか、日本の企業会計基準委員会(ASBJ)、日本公認会計士協会、金融庁、経済産業省など、総勢100名を超える市場関係者が参加した。
当日は、ゴールデンFASB議長の基調講演の後、経団連企業会計委員会の久保誠企画部会長、FEIのホライン会長の講演やパネルディスカッションを行った。会合の概要は次のとおり。
■ 基調講演=ゴールデンFASB議長
経団連と金融庁企業会計審議会は、それぞれ、今年6月に、国際会計基準(IFRS)についての報告書をまとめた。そこでは、企業文化の違いによる会計基準の差異を認めつつも、グローバルに共通の会計基準(a common set of global financial accounting standards)を策定していくための道筋を示してくれており、FASBの考え方と共鳴する点が多い。
米国証券取引委員会(SEC)は昨年7月に、IFRSに関するレポートを公表したが、米国内の企業に対するIFRSの取り扱いをどうするかは示さなかった。しかし、われわれの会計基準開発の最終目標は、自国のニーズに耳を傾けつつ、国際的にコンバージェンスされた基準を開発していくことであると考えている。
そのためには、(1)米国基準の利用者に有用な財務報告の改善を行うこと(2)IFRSの開発に積極的に参画すること(3)ASBJ等各国の基準設定主体との関係づくりやコミュニケーションを進めること――の3点を実行していくことが重要であると考えている。
特にFASBやASBJ、経団連、金融庁などさまざまな市場関係者が協力することで、より共通化された比較可能な会計基準の開発が可能になると考える。米国会計基準については、IFRSとのコンバージェンス作業が終了次第、米国基準を使う市場関係者の意見をよく聞いて、基準の改善に着手していく。その際には、日本の協力を仰ぐことになるので、よろしくお願いしたい。
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基調講演に続いて、経団連の久保企業会計委員会企画部会長、FEIのホライン会長が講演を行った。
久保部会長からは、日本におけるIFRSをめぐる動向およびIFRSに対する経団連の取り組みについて説明があり、日本では、IFRSの任意適用の円滑な拡大に向けた取り組みが進められている点、経団連でも、IFRSの実務への適用についての具体的な検討を行っている点などが紹介された。ホライン会長からは、FEIのIFRSに対する取り組みについて話があり、IFRSの主要プロジェクトごとに作業部会を立ち上げて検討を行っている点などが紹介された。
その後、日米の企業代表者とFASB、国際会計基準審議会(IASB)の代表をパネリストとして、IASBとFASBが共同で基準開発を進めてきた「収益認識」および「リース」について、パネルディスカッションを行った。
企業サイドからは、「収益認識」の提案について、特に「開示」に対して大きな懸念が残っているという意見、「リース」の提案について、全般にわたって実務上の負荷が大きく受け入れがたいという意見などが出され、活発な意見交換が行われた。
【経済基盤本部】