経団連は15日、「2013年度経団連規制改革要望」を公表した。要望は、政府の規制改革会議が今年7月から第2期の活動を開始し、10月に規制改革提案の集中受付を実施したことから、経団連全会員企業・団体および在日欧米企業等へのアンケート調査をもとに取りまとめたものである(主な項目は図表を参照)。
わが国経済は、安倍政権による大胆な金融政策、機動的な財政政策、さらには今年6月の「日本再興戦略」策定などにより、長きにわたる低迷から再生への動きが見え始めたものの、依然として残された課題は多い。とりわけ規制改革は、民間の創意工夫の発揮を通じたイノベーションを推進するとともに、高コスト構造を是正し自由で円滑な事業環境を整備するうえで極めて重要であり、わが国成長戦略の中核をなすものである。
政府の規制改革会議においては、6月に閣議決定された「規制改革実施計画」が確実に実行されるようフォローアップを徹底し、必要に応じて内容の充実、実施の前倒し等を図るとともに、健康・医療、農業、雇用・労働、貿易・投資、創業・IT等の重要分野において、現行の規制・制度をゼロベースで見直すことが求められている。
12分野202項目にわたる今次の規制改革要望は、経済成長の主たる担い手である企業が事業活動を行う際の障害として改革を求めるものであり、わが国政府には、全力を挙げて取り組まれることが強く期待される。
主な規制改革項目
健康・医療 |
- 医療機関-在宅間の遠隔診療に関するガイドラインの作成
- 遠隔診療における介護従事者の医療機器(バイタルセンサー等)操作可能化、
遠隔服薬指導および調剤薬剤の民間搬送の可能化
- 外国人医師の受け入れ拡大と、あらゆる国籍の在留外国人への診療の可能化
- ヘルスケア機器等の効果・効能をうたう機能性表示の容認
- 健康食品等の効果・効能をうたう機能性表示の容認 等
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雇用・労働 |
- 企画業務型裁量労働制の見直し、生産性向上に資する労働時間制度の創設
- フレックスタイム制の見直し
- 労働契約申込みみなし制度や日雇派遣労働者に関する原則禁止など、
2012年の改正労働者派遣法により新たに導入された制度の廃止もしくは見直し 等
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農業 |
- 農業生産法人の構成員要件の緩和(2分の1以上の議決権取得容認)
- リース方式で農業に参入した法人の農地取得の容認
- 農業経営関連施設(事務所、加工施設、直売所等)の農地転用規制の緩和 等
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創業・IT等 |
- 行政機関が保有するデータの民間による利用促進の早期実現
- サービスロボット普及促進のための安全規格の策定
- 独占禁止法9条(一般集中規制)の廃止
- 区分所有建物の建替え決議要件の緩和
- 建物の賃貸人が更新拒絶・解約申し入れを行う際の正当事由の拡大
- 低層住居専用地域へのコンビニエンスストア出店の可能化
- 火力・風力・地熱発電所の建設にかかる環境アセスメントの迅速化・合理化
- 熱利用にかかる下水道利用規制、揚水規制の緩和 等
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貿易・投資等 |
- 訪日外国人観光客に対するビザ発給要件の緩和
- 高度外国人材ポイント制における永住許可要件の緩和(5年→3年)
- ODAの機動的な活用によるインフラ輸出の推進
- 日本が締結する全EPAで特定原産地証明への自己証明制度の導入
- 医療機器、電気用品、食品添加物等の基準の国際整合化 等
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【産業政策本部】